コロンビアで17回続くクリスマスチャリティー演劇、人生を楽しくさせるのは「努力」

左から剣心役のフェリペ・フェルナンデスさん、龍馬役のフリアン・ゴメスさん、メデジン日本クラブ代表のラウラ・モラレスさん(コロンビア・メデジンの「春のひなた」で撮影)

日本に興味のあるコロンビア人が集う「メデジン日本クラブ」が同国第2の都市メデジンで開催するクリスマスチャリティー演劇が、この12月で17回目を迎える。日本語とスペイン語で演劇をする、題して「サンタプロジェクト」。メデジン日本クラブの代表を務めるラウラ・モラレスさん(28歳)と今回の主役を務めるフリアン・ゴメスさん(23歳)は「努力した結果、恥ずかしがり屋の性格を変えられた」と声をそろえる。

殺陣のシーンにこだわる!

今年の演目は「龍馬、ー侍なき国を夢見た侍ー」。幕末の志士・坂本龍馬と、日本のアニメ「るろうに剣心」のキャラクターが登場する創作劇だ。

主役の龍馬を務めるゴメスさんは「僕は恥ずかしがり屋。自分がまさか龍馬に抜擢されると思わなかった」と戸惑いを口にする。コロンビア人が幕末を演じることについて、サンタプロジェクトの発起人である羽田野香里さんは「ユニークだし、ぜひ注目してほしい」と語る。

出演者は毎年、オーディションで選ばれる。メデジン日本クラブのインスタグラムで公募する。対象となるのはプロの役者ではなく、日本に興味のある、または日本語を学んでいる一般のコロンビア人だ。今年のオーディションは6月に行われ、15人ほどが参加した。

出演者らは7~12月の約半年、勉強や仕事をしながら毎週末の練習に参加する。練習は、セリフの読み合わせ、歌、ダンス、今回はこれに加えて殺陣のやり方を稽古する。練習をサボりがちだったり、セリフを覚える努力をしない出演者は辞めてもらうこともある。舞台に立つための練習はハードだ。

今回の見どころのひとつはアクション。殺陣のやり方は、メデジン日本文化センター「春のひなた」で忍術を教えるコロンビア人から学ぶ。ゴメスさんは「竹刀を扱うのは難しい」と語る。

大変なのは練習だけではない。公演に招待する子どもが暮らす児童養護施設、国内避難民居住区、先住民保護区などを事前に訪問し、劇中で歌う日本の歌を教えたり、また折り紙など日本文化を紹介するワークショップも開く。子どもたちと交流しておくことで、本番当日の演劇をより盛り上げるというのが狙い。スケジュールはハードだ。

ゴメスさんは情報工学を学ぶ大学生。春のひなたの日本語コースにも通い、レベル9(初中級)のクラスで週2回学ぶ。将来は日本への交換留学も視野に入れる。「学業」「日本語」「サンタプロジェクト」の三足のわらじを履く。

殺陣の稽古をする龍馬役(主役)のフリアン・ゴメスさん(メデジン日本クラブのインスタグラムから引用)

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