【ミャンマーが「セックス観光大国」になる日①】一晩の稼ぎは月収並み! 外国人が女を爆買い

0408高野さん(1)写真①娯楽が少ないミャンマーではナイトクラブやディスコはいつも大盛り上がり。若者は細身のジーンズやチューブトップ姿で激しいダンスミュージックに酔いしれる。こうした場所がセックスワーカーの仕事場だ

真新しい大画面のスマートフォンを手にまんざらでもない表情の彼女に同情するべきなのかわからなかった。生ぬるいミャンマービールを一気に飲み干すと、トウトウッ(自称21歳、ビルマ族)は私の肩に寄りかかった。胸に深い切り込みがある紫色のドレスは勝負服だという。一目で夜の女性とわかる身なりだ。

■21歳が一家の大黒柱

ミャンマーの最大都市ヤンゴンの繁華街にある有名なナイトクラブ。中央のダンスフロアを囲むようにソファが並び、客たちは思い思いの女性を隣に座らせる。裕福なミャンマー人の客もいるが、大半は欧米やアジアからの外国人観光客だ。

トウトウッは外国人を主に相手にするフリーのセックスワーカー(売春婦)らしかった。英語は片言しか話せないが、入店するやいなや「私を指名して!」とばかりに手を引っ張るので少し付き合うことにしたのだ。

ビールを一杯奢って話を聞く。家族の収入が少ないため、トウトウッは必要な時にこのクラブで外国人客に体を売り、生活費に充てているという。私はビルマ語の会話帳を取り出し「男」「お金」と質問してみた。すると即座になんと日本語で「8万チャット(8000円)」と返ってきた。多少割高に言っているはずだが、8万チャットといえばミャンマーの庶民の平均月収(7万~10万チャット=7000~1万円)とほぼ同額だ。

「親はクラブで働いていることを知っているのか」と私がつたないビルマ語で尋ねると、驚いたことに答えは「イエス」。「家族は働いている」とトウトウッは言うが、生活費のほとんどを彼女の稼ぎに依存していることは簡単に想像がつく。ミャンマーに限らず、途上国では身内に高収入の者がいるとその一人の稼ぎに頼るのが普通。なにせ一晩で1カ月分の収入を稼いでくれるのだ。

貧しいがゆえに娘の売春で生計を立てる家庭は、ここヤンゴンでも少なくないに違いない。「経験な仏教国」という私の中のミャンマーのイメージが、音を立てて崩れた瞬間だった。

ヤンゴンの有名ナイトクラブには週末になると中国人観光客の団体が大型バスで乗りつける。車体の「NIPPON」マークは日本製の中古バスが使われているから

ヤンゴンの有名ナイトクラブには週末になると中国人観光客の団体が大型バスで乗りつける。車体の「NIPPON」マークは日本製の中古バスが使われているから

■チャイナマネーの力

ミャンマーの夜の大きな収入源である外国人客。薄暗いクラブの中を見渡すと「欧米人」「日本人」「韓国人」「アラブ人」と思わしき外国人がいる。中でも、圧倒的に目立つのはTシャツに短パンといったお馴染み姿の中国人だ。

ミャンマーの夜遊びツアーでもあるのだろうか。大型観光バスでクラブの前に乗りつけ、団体で女性をかっさらう姿はまさに「爆買い」。ビールにウイスキーとボトルをどんと入れ、隣の女性にも飲めよ食えよと言わんばかりに豪快に奢るのもチャイナスタイルだ。

「9万チャット(9000円)!」「8万チャット(8000円)!」。興味本位で聞き耳を立てていると、こんなやりとりが聞こえてきた。これが一晩の女性の値段だ。リッチな中国人には大した額ではない。

交渉がまとまった客と女性は夜も11時を過ぎると街に消えていく。その様子を見て、周りの女性たちはドレスの端を引っ張ってはやし立てる。こうした場所で働いていても、売春婦とは思えないほど素朴でごく普通の子たちだ。

「ずっとこの仕事を続けるつもりなの?」。私はなぜか少し罪悪感を覚えつつ、トウトウッに聞いてみたかった。だが私の言っていることが理解できないのか、答えたくないのか、不機嫌そうに「わからない」とビルマ語で繰り返すばかりだった。

彼女にしてみれば、私も女性目当てにクラブに来る多くの外国人と変わりない。あれこれ聞くだけの私に「持ち帰り」の意思がないとわかり、トウトウッは席を立った。ふと気がつくと彼女は他の外国人客にもたれかかっていた。(続く

ヤンゴン随一の歓楽街「シュエダゴン・パゴタ通り」。中国人街の中心にあり、わずか200メートルほどの通りにナイトクラブやKTV(カラオケ)など夜の店が軒を連ねる

ヤンゴン随一の歓楽街「シュエダゴン・パゴタ通り」。中国人街の中心にあり、わずか200メートルほどの通りにナイトクラブやKTV(カラオケ)など夜の店が軒を連ねる