オックスファム、ラガルドIMF専務理事とキム世銀総裁の記者会見に対する見解発表

国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事と世界銀行のジム・ヨン・キム総裁が10月11日、IMF・世銀年次総会の本会議を控えて記者会見を開いたことを受け、国際NGOオックスファムは同日、記者会見での両トップの発言についての見解を発表した。

■ラガルドIMF専務理事の発言に対して

・(欧州危機が長引くなか、「勇気ある協力的な行動」を期待すると述べたことについて)欧州危機の影響は途上国にも及ぶ。IMFは、貧困国の脆弱な成長を維持し、社会的安定と成長に不可欠な反循環的支出を促進するために、貧困国と協力しなければならない

・(欧州が導入しようとする金融取引税について)IMFは、貧困削減策の財源として金融取引税を支持すべき

・米国は、IMFのガバナンス改革を直ちに承認すべき。意思決定の場で新興国にも相応の発言力が与えられるべき

■キム世銀総裁の発言に対して

・BRICS諸国が自前で開発銀行を立ち上げたなか、キム総裁は早急に、世銀改革案を示すべき

・(日本主導のユニバーサル・ヘルス・カバレッジに関する議論について)日本の国民皆保険制度のような個人の保険料の支払いに強く依存した制度は、低所得国では保健格差を拡大する可能性が高い。途上国では、国家全体で健康リスクをプールするような、税と国際援助を財源とした公的資金による無償化を基本とすべき

・(食料価格の高騰について)世界には十分な食料があるにもかかわらず、8億7000万人が飢えるという事態はスキャンダルであり、一刻も早く終わらせるべき。世銀は貧困層の暮らしと、食料の生産に必要となる資源へのアクセスを守らなければならない。オックスファムは世銀に対し、土地に対する農業投資を一時的に凍結し、土地収奪防止策を導入することを求める

・(気候変動について)懐疑論者の主張をキム総裁が明確に否定したことをオックスファムは高く評価する