オックスファム、IMF・世銀総会は「切迫感なし」

国際NGOオックスファムは10月13日、国際通貨基金(IMF)・世界銀行総会について、以下の評価コメントを発表した。

■切迫感の欠如について

今回の会合は期待に応えるものではありませんでした。会議室内で熱を帯びた議論がなされたような形跡がありません。IMFと世銀は、途上国経済が直面する脅威や、食料価格の高騰について懸念の表明はしましたが、それらについての切迫感は感じられず、行動計画もありません。

■食料価格と土地収奪について

国連が発表している最新統計では、約8億7000万もの人々が十分な食料を手にすることができておらず、飢餓の削減に向けた世界的な取り組みも止まってしまっています。

世銀は、貧しい人々が食料を作るために必要としている資源へのアクセスと暮らしを守るための支援をしなければなりません。オックスファムは世銀に対し、土地への農業投資を一時的に凍結し、政策の見直しを行うことを求めています。世銀が凍結について拒否の姿勢を示したことは大変残念なことであり、今後、オックスファムが提起している土地収奪と食料安全保障に関する多元的な問題を真剣に受け止めることを望みますし、私たちも引き続き働きかけを行っていきます。

■IMF改革について

IMFの統治機構改革は遅々として進んでいません。新興国はIMFに大きな資金拠出を行ったにもかかわらず、資金運用に関する意志決定において相応の発言権を与えられていません。米国は一刻も早くIMFのクオータ改革案を承認すべきです。更なる先送りは許されません。IMFの統治機構の欠陥が是正されなければ、その正統性に疑問符が付くことになります。

■金融セクター改革について

複数の欧州諸国が金融取引税(FTT)の導入を合意しようとしていますが、これによって経済危機の煽りを受けた貧しい人々の支援のために数十億ドルを動員できる可能性があります。年次総会に参加している市民社会組織(CSOs)との対話イベントにおいてIMFのクリスティーヌ・ラガルド専務理事は、FTTに対する政治的モメンタムが拡大していることを認める発言を行いました。オックスファムはIMFに対し、欧州諸国がFTT導入のプロセスを加速させるよう、影響力を行使し、税収のうち一定の割合が途上国支援に使われるようにするよう、求めています。

■成長と格差・不平等に関するIMFの取り組みについて

IMFは不平等の問題について発信し続けており、オックスファムも歓迎をしています。IMFはその精神を、各国財務省に対する姿勢に実際に反映させ、自らの政策勧告によって最貧層が負の影響を受けないようにすべきです。IMFはまた、途上国の脆弱な経済成長を維持するために、保健医療、教育、農業部門への投資を強化すべく、途上国と協力すべきです。

■保健医療について

今回の総会の公式テーマの一つが、保健医療でした。世銀は保健分野への投資に対するコミットメントを示しましたが、各国政府のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成のために世銀としてどのような支援を行うのかは、未だ不透明です。