窃盗罪に手足切断、ブルネイでイスラム法の厳格化

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東南アジアのイスラム教国ブルネイで5月1日、シャリーア(イスラム法)に基づく新刑法が施行された。ブルネイ・タイムズが4月30日付記事で報じた。

新刑法は段階的に導入される。フランス24によると、5月1日からの第1フェーズでは、金曜日の礼拝やラマダン(断食月)の断食を怠った場合、罰金や禁固刑が科される。2014年末からの第2フェーズでは、窃盗罪には鞭打ちや手足の切断などの刑を適用する。2015年末の第3フェーズからは、婚外性交渉や同性愛は石打ちによる死刑となる。

国連やアムネスティ・インターナショナルなど国際社会はこの法律を激しく非難している。その理由は、刑の残酷さはもとより、未婚女性の妊娠や同性間性行為など“犯罪とはいいがたいこと”にも刑罰を与えるからだ。

シャリーアの厳格化にブルネイ国内ではソーシャルメディア上で批判の声が上がった。日本でも5月4日、30人以上の一般市民が東京のブルネイ大使館前に集結。「新刑法はブルネイのLGBT(性的少数者=レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)の人権を侵害する」とシュプレヒコールを上げた。

刑罰の残酷さが話題に上ることが多いシャリーアだが、その内容は刑法だけではない。民法や行政法、国際法にも及ぶ。道徳的な行儀作法も含む。サウジアラビアやイランなどはシャリーアを最高法規して採用している。シャリーアはまた、多様な解釈が可能という特徴をもつ。

このほか、シャリーアに基づくイスラム金融は世界中に普及している。アルコールや豚肉、賭博などイスラム教義に反する事業の取引に融資をしないだけでなく、利子をとらないのが特徴。世界のイスラム金融機関が管理する資産額は2010年には1兆ドル(約101兆円)以上となった。

シャリーアに基づく国家の樹立を目的に、テロ活動を展開する組織も存在する。ナイジェリアで5月5日に200人以上の女子生徒を誘拐したイスラム過激派ボコ・ハラムなどの活動が活発化している。(西森佳奈)