国境なき医師団がGAVIに「4つの提案」、最低ワクチン価格を人道援助団体にも適用を!

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国境なき医師団(MSF)は10月29日、世界で予防接種を受けられない子どもの数(2012年2260万人)を減らすには、「ワクチン予防接種世界同盟」(GAVIアライアンス)が政策を変更する必要がある、との考えを示した。これは、ストックホルムでGAVIの中間評価会議が開催されるのにあわせて表明したもの。

GAVIは、途上国での予防接種を支援することを目的に資金調達する国際的な官民連携の組織。日本は2011年以来、累計2750万ドル(約27億円)をGAVIに拠出するドナー(援助国)のひとつ。

MSFはGAVIに対して「4つの政策変更」を提案している。詳細は下のとおり。

1)人道援助団体にも「GAVI価格」の適用を

GAVIは、MSFなどの人道援助団体には「最低ワクチン価格」を適用していない。このため難民が新ワクチンの恩恵を受けられない事態が起きている。GAVIは、人道支援のNGOにも最低ワクチン価格の適用を許可すべき。

2)ワクチン価格の引き下げにもっと働きかけを

子ども1人に完全に予防接種を受けさせる費用は、2001年の1ドル38セント(約136円)から現在は38ドル8セント(約3800円)へと27倍上昇した。これは、経済が成長し、GAVIの支援を受けられなくなった場合、ワクチン価格をまかなえなくなるリスクをはらむ。コンゴは2015年末からGAVIの支援を得られなくなるが、そうなるとワクチンへの支払い額は20倍に膨れ上がるという。

予防接種を続けられるよう、GAVIは、多国籍製薬企業と交渉したり、また新たなワクチン生産者の参入を支援したり、とワクチン価格の引き下げにいっそう努力すべき。

3)予防接種の対象を1歳以上の子どもにも拡大を

定期予防接種向けにGAVIが購入するワクチンは、1歳児までが対象となる。これは、予防接種を受けずに生後1年を超えた場合、ワクチンの恩恵を受けられないことを意味する。GAVIは各国への支援内容を改訂し、世界保健機関(WHO)の推奨事項を完全に実施できるようにすべき。

4)40度でも保存できるワクチンの開発促進を

ほとんどのワクチンは常に、2~8度に保っていなければならない。だが気温40度以上で、しかも電力供給が不安定な途上国・地域では、低温での輸送が難しいという現状がある。

「MenAfriVacワクチン」は最近、最長4日間、最高40度での保存が可能となった。GAVIは、より使いやすいワクチンの開発に奨励金を出すなど、動機づけに積極的な役割を果たすべき。