中国共産党が「労働教養制度」を廃止、人権団体は「評価するも警戒」

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中国共産党が「労働教養制度」(労働を通じた再教育)を廃止すると11月15日に発表したことを受け、国際人権団体は、前進と評価する一方で、人権侵害が根本的になくなったわけではない、とする声明を相次いで発表した。

労働教養施設は中国全土に300カ所以上あり、これまで数十万人の反体制活動家が恣意的に拘禁されてきた。起訴や裁判といった手続きがとられることはない。アムネスティは「労働教養施設の廃止は、正しい方向への大きな一歩。だが当局は新たな方法を考えている。それは『洗脳センター』など別の形態の拘禁施設に送りこむというものだ」と警戒する。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)も「労働教養制度の廃止だけでなく、『裁判なしに拘禁する別の制度も導入しない』とすべき」と訴えている。

中国共産党は併せて、「一人っ子政策」の緩和も発表した。内容は予想通り、夫婦のいずれかが一人っ子であれば、2人目の出産を許可するというもの。現在は、夫婦ともに一人っ子である場合のみ、2人目の出産が認められている。

この緩和措置についてHRWは「前進だが、依然としてリプロダクティブ・ライツ(性と生殖についての権利)を不当に制限している。人権侵害だ」と指摘する。

中国政府は、女性に出産数を守らせるため、定期的な婦人科検診の受診、出産前の許可申請を義務づけているほか、規定数の子どもを産んだ後は子宮内避妊器具(IUD)の挿入か、不妊手術に同意するよう求めている。妊娠した場合は中絶させられるという。

今回の政策転換は、第18期中央委員会第3回総会(3中総会)で採択されたもの。労働教養制度や一人っ子政策以外にも、死刑適用犯罪の範囲縮小、自白の強要と誤審の削減努力などが含まれる。