ハンバーガーチェーンのジョリビー、世界のマクドナルドを超える秘訣とは?

ジョリビー

フィリピンのファストフード業界でトップシェアをもつのはジョリビーだ。その理由は、ジョリビーのファミリー戦略にある。

セブに住む7~50歳の男女45人を対象に、ジョリビーとマクドナルドどちらが好きかを調べた。結果は、ジョリビー25人、マクドナルド15人、どちらも好き5人で、ジョリビーが勝利した。その理由を、ジョリビーが好きな人に尋ねたところ、「チキンが美味しい」と約8割の人が答えた。「ジョリビーのチキンはサクサクだよ。フィリピン風の味が好き」。マクドナルドが好きな人は「インターナショナルな(世界で愛されている)味だから」と言った。

ミートソーススパゲティの味にも、子どもがジョリビーを好む理由が隠されている。フィリピン人は甘い味付けを好むため、どちらのお店のミートスパゲティも日本では考えられないほど甘い。しかし、マクドナルドより、ジョリビーのスパゲティの方がより一層甘い。ジョリビーのミートソーススパゲティには、バナナで作られた「バナナケチャップ」が使われている。ある中年男性は「マクドナルドのスパゲティはトマトの味が濃いよ。ジョリビーの方が甘いから、俺はマクドナルドが好き。だけど、子どもはジョリビーの方が大好きさ」と言う。ジョリビーもマクドナルドもともに人気商品はチキンとスパゲティだ。

店の雰囲気を評価する声も多かった。「ジョリビーに来るとハッピーになれる」「家族で楽しめる」。どうしてジョリビーに来るとハッピーになれるの、と聞くと、26歳の女性は「ジョリビー(ジョリビーの蜂のマスコットキャラクター)が笑顔だから。マクドナルドのドナルドは怖いわ」と言う。またホテルで働く女性は「(キャラクターとしての)ジョリビーは子どもに大人気よ。アニメをテレビで放送しているから。ジョリビー以外のキャラクターもいっぱいいるの! そのアニメを見て、子どもがジョリビーに行きたがるの」と話す。

子どもを喜ばせたい親にとってジョリビーの価格設定は良心的だ。チキンとライス、ジュースのセットにおもちゃが付くハッピーミール(日本でいうハッピーセット)の値段を比べた場合、ジョリビーは100ペソ(約260円)ペソ、マクドナルドは111ペソ(約290円)とジョリビーの方が安い。スパゲティのハッピーミールは、ジョリビー83ペソ(約210円)、マクドナルド87ペソ(約220円)だ。ハンバーガーのハッピーミールの価格は同じ。

ジョリビーはユーモアのセンスも忘れない。店内にある手洗い場には「WASH YOUR HANDS & bee healthy!(手を洗って健康になろう!)」という張り紙が。これはジョリビーのJollibeeのbee(蜂)とかけて手を洗うよう呼びかけている。またジョリビーのハンバーガーは、yummy(美味しい)とhamburgerを足してyumburgerと呼ばれている。

子どもに幸せを運ぶファミリー戦略をとるジョリビー。家族を大切にするフィリピン人の国民性を意識した店づくりは、世界のファストフード業界ナンバーワンのシェアを持つマクドナルドを寄せ付けない強さの秘訣になっている。

マクドナルドのチキンとスパゲティ

マクドナルドのチキンとスパゲティ