NLDのボランティアのウーファンミンさん(右)。21歳、ビルマ族
「NLD ! NLD !」。NLDとは、ミャンマーの最大野党「国民民主連盟」の略称だ。党首は、民主化運動の象徴アウンサンスーチー下院議員(70)。NLDのトレードマークである「白星」をプリントした真っ赤なTシャツを着込む支持者らは、党旗を振りかざし、ヤンゴンの路上で党名を連呼する。2011年に民政移管されてから初めてとなる総選挙の投票日は11月8日。選挙戦はすでに始まっている。
NLDの選挙運動は派手だ。党のイメージカラーである赤を塗り、ライトを付けた改造トラックは「NLD公式の宣伝カー」。車内では、支持者で組んだバンドが応援歌を演奏する。トラックの上には候補者が次々と登壇し、歌ったり、演説したりする。
この政治集会で渋滞した道路で車を誘導していたNLDのボランティアのウーファンミンさんは「集会にはきょう初めて参加した。これから投票日まで毎週参加するつもり」と話す。家族全員がNLDを支持しているという。ミャンマーではNLDの人気が圧倒的だ。
派手なパフォーマンスと支持者の熱狂ぶりは、2011年までおよそ半世紀続いた軍政のうっぷんを晴らそうとしているかのよう。普段はおだやかでシャイなミャンマー人たちが拳を突き上げて「デモクラシー」と叫ぶ。
総選挙では、上下両院で、軍人の指定制166議席(2008年制定の憲法の規定により全議席の4分の1は国軍最高司令官が直接指名する)を除く498議席を争う。NLDは最多の492人の候補者を擁立している。これは、与党連邦団結発展党(USDP)の483人を上回る。