女性支援が貧困を減らす! 世銀CEOが訴え

世界銀行CEOのクリスタリナ・ゲオルギエヴァ氏。貧困撲滅への世銀の活動を熱く語る世界銀行のクリスタリナ・ゲオルギエヴァCEO。貧困撲滅への世銀の活動を熱く語る(2017年11月2日撮影)

世界銀行のクリスタリナ・ゲオルギエヴァ最高経営責任者(CEO)は先ごろ都内の大学で講演し、女性への支援が途上国の貧困削減につながると強く訴えた。途上国の女性起業家を支援する「女性起業家資金イニシアティブ(We-Fi)」を世銀は先に立ち上げたばかりだ。

講演のなかでゲオルギエヴァ氏が指摘したのは、女性が男性と同等の所有権・財産権・教育を受ける権利を得られれば、その国の貧困を大きく削減できることだ。ある研究によれば、女性に給料が払われるとその約9割を子どもや家族、コミュニティーに使うが、男性の場合、その比率は4割にとどまるという。ゲオルギエヴァ氏は「男性の給料の残りはどこに消えてしまうのか」と笑いを交えながら、途上国の女性が十分な給料を得ることの意味合いを強調した。

ゲオルギエヴァ氏は、世銀が10億ドル(約1100億円)以上の資金をもとに10月に設立した「We-Fi」にも言及した。途上国の女性起業家は男性に比べて、経営に必要な技術、人脈、知識などが不足している。女性が経営する中小企業の約7割が金融機関から十分な融資を受けていないといわれる。こうした問題を解決するためWe-Fiは、中小企業の女性経営者・女性が経営する中小企業が資金を調達できたり、より大きな規模の市場へアクセスできたり、人脈をつくれたりする機会を提供する。女性起業家をサポートすることで、貧困削減を目指すというのが青写真だ。

ジェンダーへの取り組みは、実は世銀自身も進めている。世銀は2020年までに管理職スタッフの男女比を50:50にする方針。「湾岸諸国に女性差別をやめるよう働きかけるとき、頼む方(世銀)が男性だらけだと説得力がない」(ゲオルギエヴァ氏)。世銀の管理職に女性が占める割合は現在約45%。世銀は女性の管理職を増やしたうえで途上国政府にジェンダー平等をよりいっそう強く働きかけたい意向だ。