仕事で大切なのは「やりがい」! 日本人経営の雑貨店を支えるカンボジアの革職人

革職人のソック・リーさん(写真左)。ビンテージ調のレイアウトが特徴の雑貨店「shippos」の前で。Shipposの店内には、かばんや財布、アクセサリーなどが並ぶ。右は、販売スタッフとして働く丸山一将さん革職人のソック・リーさん(写真左)。ビンテージ調のレイアウトが特徴の雑貨屋「shippos」の前で。店内には、かばんや財布、アクセサリーなどが並ぶ。右は販売スタッフの丸山一将さん

日本人オーナーのもと、シェムリアップで革製品の職人として働くカンボジア人青年がいる。ソック・リーさん、22歳だ。仕事をするうえで一番大切になのは「やりがい」というのが信条。彼が作ったかばんや財布、ブレスレットなどの革製品は、シェムリアップのナイトマーケットで古白川真さん(33歳)が経営する雑貨屋「shippos」に並ぶ。

リーさんが革製品と出合ったのは17歳の時。いとこの紹介で行ったタイの出稼ぎ先でだ。そこで見習いとして革製品の作り方を一から学んだ。「革製品を作るのは難しくないから好き」とリーさん。カンボジアへ戻った後は、タイで習得したスキルを生かし、シェムリアップに革製品の店を開いた。20歳の時だ。

リーさんの店をある日、日本人が訪れた。現在の上司である古白川さんだった(当時30歳)。古白川さんはシェムリアップに移り住み、shipposを営んでいた。革製品の部門をちょうど立ち上げようとしていたところだったという。「ステッチやカットする部分をきれいに作れば、もっと良いものができる。オリジナルのデザインで一緒にものづくりをしよう」。古白川さんはリーさんを誘い、作り手として雇うことにした。

古白川さんのもとで働き始めて2年になるリーさんは言う。「より良い商品をどうすれば作れるか、古白川さんと一緒に試行錯誤できることが楽しい。彼と出会えて良かった」。タイ・バンコクへ古白川さんと2人で革製品の視察に行くこともあるという。バンコクでは革製品の有名店も多く、カンボジアにない商品もたくさんある。バンコクでの刺激をもとに思いついたデザインについて日々話しあう。

リーさんが仕事するうえで重視するのは「第一にやりがい、第二にお金、第三に休み」だ。リーさんの家族や友人たちも、彼が作った革製品を喜んで使ってくれているという。新製品を生み出す楽しさに加えて、周りからの反応の良さも、仕事のやりがいにつながる。

リーさんにとって将来の夢は、古白川さんと一緒にshipposを大きくすること。店の経営状況はまだまだ不安定だが、シェムリアップでの知名度は徐々に浸透してきた。リーさんができることは職人としての腕を磨く続けること。そのためにユーチューブのハウツー動画を日ごろから見るなど、研究も怠らない。

ソック・リーさんが作ったレザーバッグ

ソック・リーさんが作ったレザーバッグ