生理用ナプキンをポイ捨てしない“赤丸運動”、インド・プネーのウェストピッカーを病気から救う!?

「レッドドットキャンペーン」を担当するスワッチのスタッフであるカリシュマサンさん(インド・プネーで撮影)「レッドドットキャンペーン」を担当するスワッチのスタッフであるカリシュマサンさん(インド・プネーで撮影)

インド西部の都市プネーに、一風変わった運動がある。使用済み生理用ナプキンを新聞紙に包み、赤ペンで丸印を付ける活動「レッドドットキャンペーン」(赤丸運動)だ。キックオフして1年半、1日約20トンの使用済み生理用ナプキンやオムツが衛生的に回収されるようになった。

キャンペーンが始まる前は、使用済みの生理用ナプキンやオムツは窓から捨てられることもあった。不衛生なことから、ごみに触れなければならないウェストピッカー(ごみを収集する人)にとっては皮膚病や感染症の脅威になっていたという。

2017年2月に始動したレッドドットキャンペーンを担うのは、プネー市公社(PMC)とプネー市の協同組合「SWaCH」(スワッチ)だ。スワッチは、3000人以上のウェストピッカーが集まってできた組織。赤丸付きの新聞紙で包まれた使用済み生理用ナプキンを収集するだけでなく、住民がキャンペーンに協力してくれるよう啓発活動も実施する。

そのひとつが、プネー市内の学校をスワッチのスタッフが訪問し、使用済み生理用ナプキンの処分方法を伝えること。具体的には、新聞紙を使って使用済み生理用品をうまく包む方法、赤い丸印の付け方などだ。赤い丸印を付けることで、ウェストピッカーは「このごみが使用済み生理用ナプキンだ」とわかるので、中身が何かを開けて確認する必要はなくなる。ウェストピッカーにとっては感染症リスクを減らすことができる。

レッドドットキャンペーンの担当者でスワッチ職員のカリシュマさん(23)はこれまでに50〜60の学校でキャンペーンの意義を説明してきた。「学校へ話に行くと、キャンペーンをすぐに受け入れてくれる女子生徒もいれば、そうでない人もいる。でも説明した後は、8割の生徒が使用済み生理用ナプキンを包んだ新聞紙に赤丸を付け、その写真をワッツアップ(ラインのようなコミュニケーションアプリ)で送ってくれる」とカリシュマさんは笑顔で語る。

だがレッドドットキャンペーンの浸透はそう簡単ではないのが実情だ。プネー市内のある地域では、使用済み生理用ナプキンをそのままで回収するウェストピッカーの姿もあった。しかも素手で。キャンペーンが完全に普及するのはまだまだ時間がかかりそうだ。

プネー市の路上にあるごみ収集カートの中には、むき出しになった使用済み生理用ナプキンがあった。ウェストピッカーは素手でごみを分別していた

プネー市の路上にあるごみ収集カートの中には、むき出しになった使用済み生理用ナプキンがあった。ウェストピッカーは素手でごみを分別していた