インド・プネーにあるガネーシャ祭りの聖地「ダグダッシェス寺院」、1カ月に集める寄付金は1億6000万円?!

ダグダッシェス寺院の内部。黄金に輝くこのガネーシャ(写真の真ん中)はダグダッシェススタイルと呼ばれる(インド・プネー)ダグダッシェス寺院の内部。黄金に輝くこのガネーシャ(写真の真ん中)はダグダッシェススタイルと呼ばれる(インド・プネー)

インド中西部のマハラシュトラ州プネーの中心部には、象の頭をもつヒンドゥー教の神「ガネーシャ」を祀る有名な寺がある。1893年に建立した「ダグダッシェス・ハルワイ・ガンパッティ寺院」だ。プネーで最も豊かな寺院としても有名で、内装は豪華。黄金のガネーシャの祭壇と銀でできた内壁、天井にはシャンデリアがぶら下がる。プネー在住のインド人いわく、この寺院がヒンドゥー教徒から1カ月に集める寄付金は1億ルピー(約1億6000万円)に上るという。

ダグダッシェス寺院がインド人の間で高い人気を誇る最大の理由は、プネー最大のお祭りである「ガネーシャ祭り」の中心地だからだ。ガネーシャ祭りとは、主にマハラシュトラ州で8月末から9月までの10日間にわたってガネーシャの生誕を祝うもの。ダグダッシェス寺院にはこの時期、数十万人にも及ぶヒンドゥー教徒がガネーシャの加護を求めてやってくる。

ガネーシャ祭りでは、職人らが作った巨大なガネーシャ像を、祭り用に建てた簡易な寺(祭りが終わったら解体する)に置く。マハラシュトラ州のヒンドゥー教徒は小さなガネーシャ像を買い、家にも置いて、毎日祈りを捧げる。

ムンバイのビジネスウーマン、プジャさんは「ガネーシャ祭りのクライマックスは最終日。みんなでガネーシャ像を担いで(川などに運び)、水に沈めて流すの」と語る。たくさんのインド人が太鼓や音楽に合わせて踊りながら、ガネーシャ像を担いで川まで行進する様子は圧巻だという。

ガネーシャ祭りはもともと、小さな祭りだった。だがインドが英国の植民地だった時代、インド独立運動の政治的指導者だったバール・ガンガダール・ティラクがプネーの住民に働きかけ、ガネーシャ祭りはヒンドゥー教の正式な祭りとして盛大に祝われるようになった。住民を宗教で一体化させ、独立の気運を高めようとの狙いがあったようだ。

ガネーシャは知恵と富の神様で、障害を取り除く力をもつとされる。プネー在住のフリーライター、バイシャーリーさん(36)は「マハラシュトラ州のヒンドゥー教徒は何か新しいことを始めるとき、ガンパティ(ガネーシャの別名)に祈るの。とても人気がある神様だわ」と語る。高さ1メートル超のガネーシャ像はプネーの街中のいたるところで飾られている。

ダグダッシェス寺院にはガネーシャが乗るネズミの銀像もある。願いごとを耳元でささやくと叶うといわれる(インド・プネー)

ダグダッシェス寺院にはガネーシャが乗るネズミの銀像もある。願いごとを耳元でささやくと叶うといわれる(インド・プネー)