日本の油吸着材「マジックファイバー」がモーリシャスを救う! わかしおから流出した重油を回収

重油を吸収した後のマジックファイバー。重油が染み込んで真っ黒になっている。マジックファイバーを作るエム・テックスは、モーリシャスなどでの緊急対応が評価され、「災害対応支援環境大臣表彰」を3月26日に受賞した重油を吸収した後のマジックファイバー。重油が染み込んで真っ黒になっている。マジックファイバーを作るエム・テックスは、モーリシャスなどでの緊急対応が評価され、「災害対応支援環境大臣表彰」を3月26日に受賞した

総額3000万円以上を集める

エム・テックスは、今後の作業で使うマジックファイバーを生産する資金をクラウドファンディングで集めた。

これまでに実施したのは2回。1回目は2020年7~8月。このときは3666人から2455万2000円を集めた。

この金額の95%以上はわずか3日で集まったという。その理由は、8月のテレビの報道だった。国際協力機構(JICA)がモーリシャスに派遣した専門家チームが、マジックファイバーを持ち込んだことを取り上げた。

このクラウドファンディングは当初、モーリシャスの重油を回収するためのものではなかった。日本国内の災害に備えるために、マジックファイバーを増産するのが目的だった。きっかけとなったのは、九州北部が2019年8月に豪雨に見舞われ、佐賀県の鉄工所から油が流出したとき、マジックファイバーがその回収に大活躍したからだ。

だがエム・テックスは使い道を変えた。竹ノ下氏は「お金を出してくれた人たちのメッセージの中に、『モーリシャスに役立ててください』とのコメントがたくさんあった。そんな声に応えるために、全額をモーリシャスのために使うことにした」と話す。

2回目のクラウドファンディングは2020年11月。1885人から906万6750円が集まった。このときの目的は、マジックファイバーの生産資金を追加で集めるためだ。

合計5551人から総額3361万8750円を集めたことについて竹ノ下氏は「モーリシャスのために何かしたいと思った人が、エム・テックスの取り組みに共感して支援してくれた。結果を出さなければという使命感が強まった」と振り返る。

クラウドファンディングで集めたお金で生産したマジックファイバーは今後、モーリシャスに送られ、マングローブに広まった重油を回収する。

現地NGOのスタッフがマングローブ林で作業するようす。根についた重油を拭きとる

現地NGOのスタッフがマングローブ林で作業するようす。根についた重油を拭きとる

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