日本語で「モンゴルの言い伝え」がわかる絵本が30以上あった! 作者は東京在住15年のモンゴル人女性

ボロルマーさんが実際に絵を描くようす。草原に馬やラクダ、羊、ヤギがいたり、モンゴルの伝統的住居ゲルが並んでいたりする

モンゴルに絵本はなかった

ボロルマーさんが日本で絵本作家になろうと決めたきっかけは、1991年に当時9歳で参加した、在モンゴル日本大使館主催の絵画コンクールだ。「私が知っている日本」というテーマに沿って、テレビでしか見たことがなかった富士山や着物の女性、水牛、寺、桜の絵5枚を描き優勝。この時に初来日したことで日本が好きになったため、17年後の2008年に文教大学(埼玉・越谷)の正規留学生として来日した。

このコンクールはボロルマーさんにとって思い入れが強い。モンゴルと日本の国交樹立50年を迎える2022年、自分が子どもの時に優勝したものと同じコンクールで審査員の一人を務めた。「一生懸命描いた子どもたちの絵を見るのは、すごく嬉しかった」とボロルマーさんは話す。

ボロルマーさん夫婦が幼少期を過ごした1980年代のモンゴルには実は絵本があまりなかった。そのため、夫のガンバートルさんは4歳から、挿絵つきの分厚い本を大人に何回も読んでもらうことで話を丸暗記。ボロルマーさんは「祖母からよく、昔の思い出を物語のように聞かせてもらった」と懐かしむ。

「モンゴル人の画家や児童文学作家は昔からたくさんいた。でも絵本づくりや読み聞かせの文化は乏しい。最近は、欧州の絵本の翻訳版が入ってきたり、モンゴルに住む日本人が日本の絵本をモンゴル語に訳して読み聞かせしたりしている」(ボロルマーさん)

ボロルマーさんは「絵本にあまりなじみがないモンゴルでも、自分の絵本が読み聞かせされるようになれば嬉しい」と目を輝かす。

ボロルマーさんがこれまで手がけた絵本や紙芝居。日本語はもちろん、モンゴル語や英語、韓国語のものもある。作品数は全部で30以上だ

ボロルマーさんがこれまで手がけた絵本や紙芝居。日本語はもちろん、モンゴル語や英語、韓国語のものもある。作品数は全部で30以上だ

時計をモチーフに、少女やイチョウの葉、チョウチョウ、ネズミなどを描いた作品。絵本や紙芝居を作る以外にこうした絵も販売する

時計をモチーフに、少女やイチョウの葉、チョウチョウ、ネズミなどを描いた作品。絵本や紙芝居を作る以外にこうした絵も販売する

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