「氷点下のテント生活が被災者のメンタルを追い込む」、トルコ・シリア大地震でNGOパルシックが報告会

地震で建物は完全に崩壊した。がれきの下に埋まった人の救助は難航する。シリア北部で2月7日に撮影(写真はパルシック提供)地震で建物は完全に崩壊した。がれきの下に埋まった人の救助は難航する。シリア北部で2月7日に撮影(写真はパルシック提供)

トルコとシリアで難民・国内避難民の支援を長年続けてきたNGOパルシックは2月16日、6日に起きたトルコ・シリア大地震を受け、緊急報告会を開催した。震源地であるトルコ南部の街ガジアンテップに入ったパルシックの大野木さんが現地からオンラインで登壇し、「被災者は大きな地震がまた起きるのではないかと不安で、夜もゆっくり寝られていないようだ」と述べた。

雪が残っていた

大野木さんがガジアンテップに到着したのは、地震が発生してすぐの2月8日。被災状況と支援の需要を把握するため調査を始めた。

調査のなかで大野木さんが最も深刻だと思ったのは住居だ。地震で多くの建物が崩壊した。崩れなかった家もひびが入り、いつ崩れてもおかしくない状態だ。現地の人たちは仕方がなく、公園や広場にテントを張り、避難生活を送っている。

だがガジアンテップは冬の真っただ中。被災者は寒さに凍えている。

「私が到着した時は、道にまだ雪が残っていた。夜は零度前後になる。現地の人はヒーターもなく過ごしている」

防寒具に身を包んだ大野木さんは息を白くしながらこう訴えた。

マグニチュード7.8の地震が起きて以降、トルコとシリア両国で2月25日までに5万人以上が命を落とした。100万人以上が今もテントなどで避難生活を続ける。

被災者の精神状態も追い込まれている。パルシックの元ローカルスタッフのトルコ人は、自宅の目の前のアパートが崩壊したため、恐ろしくなって車に乗り被災地を離れた。だが地震がトラウマとなり、夜もゆっくり眠れないという。

トルコ南部では地震以降、2月20日までに6000回以上の余震が発生。20日にはマグニチュード6.3の地震も起きた。

地震で傾いた民家。トルコ・カフラマンマラシュで2月24日に撮影(写真はパルシック提供)

地震で傾いた民家。トルコ・カフラマンマラシュで2月24日に撮影(写真はパルシック提供)

地震でひびが入ったビル。トルコ・ガジアンテップで2月8日に撮影(写真はパルシック提供)

地震でひびが入ったビル。トルコ・ガジアンテップで2月8日に撮影(写真はパルシック提供)

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