変わりゆくラオス正月の祝い方、「祈り」から「エンターテイメント」へ

ラオスの若者たちがピックアップトラックを乗り回し、荷台から通行人に水を浴びせかける(首都ビエンチャン中心部の大通り)ラオスの若者たちがピックアップトラックを乗り回し、荷台から通行人に水を浴びせかける(首都ビエンチャン中心部の大通り)

上司の頭に水をバサッ

3つ目の理由は、SNSの普及で、ラオスの先を行く隣国タイのイベント化した水かけ祭りのようすを見たラオス人が影響を受けていること。タイ語はラオス語(ラオ語)と似ているため、スマホで映像を見て自分たちも同じような楽しみ方をしようとチェックしているようだ。

「小さいころからタイのテレビはよく見ている。タイの水かけ祭りの情報はすぐ入ってくる」とビエンチャン在住の30代の男性は言う。

4つ目は、ストレス発散の手段として水かけ祭りがポピュラーになってきたこと。官庁に勤める若い職員は「職場で上司の頭や背中に水をかけたり、同僚同士がお互い全身にかけあったりするバカ騒ぎをして、年に一度の行事を楽しむんだ」と語る。

ただ水かけの乱痴気騒ぎに乗じて、政治的なうっぷんを晴らすはけ口にするのはご法度だ。警察と衝突したり、店や公共施設、車両などを壊したりはしない。娯楽にとどめるストレス発散の仕方は、ラオス人の「穏やかな気質」を反映しているとの見方もある。

5つ目は気温の上昇。米国の気候学センターが掲載するデータによると、2000年からの20年でビエンチャン県の年平均気温は約0.5度上昇したという。

正月の4月14日は日中で40度近く、夜9時でも32度だった。4月中旬は乾季から雨季への季節の変わり目でもある。「暑気払いや雨乞いで水をかけあいたくなるよ」と語るびしょ濡れのラオス人。冷水を浴びたい気分が水かけに拍車をかける。

仏像への伝統的な水かけの風景(ビエンチャンのタートルアン寺院)

仏像への伝統的な水かけの風景(ビエンチャンのタートルアン寺院)

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