エロは「夢の階段の第一歩」、コロンビア人日本語教師が成人向けマンガで翻訳家デビュー

「現代エルフのエロ事情」を翻訳したメリッサ・モラレスさん。「オノマトペの翻訳に苦労した」と語る

コロンビア人日本語教師のメリッサ・モラレスさん(女性、29歳)がスペイン語に翻訳した日本の成人向けマンガが7月1日、発売された。予約販売は700冊すべて売り切れ。現在は、中南米の書店やEC(電子商取引)サイトで販売中だ。モラレスさんの 夢は「コロンビア中に自分が翻訳したマンガを広めること」。エロマンガはあくまで「夢の階段の第一歩」だと語る。 

日本で挫折もコロンビアで夢つかむ 

モラレスさんが翻訳家を志したのは、日本語を学ぶために2018年から21年まで横浜市に滞在していたときだ。幼いころから日本のアニメやマンガに親しんできた彼女は語学学校を卒業後、夢を叶えるために日本の出版社を3社受けた。しかし現実は厳しく、結果は全滅。同じ時期に、コロンビアで暮らす父の病気が見つかったため、2021年8月に夢を諦めて帰国した。 

ところがチャンスは突然訪れた。コロンビア・メデジンに帰国後、スペインの出版社「マンガライン・エスパーニャ」が立ち上げたばかりのコロンビア支社「ロクーラ・マンガライン」の支社長から、日本のマンガをスペイン語に翻訳する仕事の依頼を受けた。翻訳家になる夢がコロンビアで叶うとは思わなかったから、二つ返事で引き受けた。 

だが翻訳するのはエロマンガ。タイトルは「CIRCUNSTACIAS EROTICAS DE LA ELFA MODERNA (おとなりの現代エルフのエロ事情)」。戸惑いもあったが、2023年5月から翻訳を始め、7月に出版にこぎ着けた。 

エロは根強いニーズがあるとされる。モラレスさん自身も「よく売れる」とそれを実感している。一冊4万1000ペソ(約1500円)と高いにもかかわらず、予約販売の700冊は実際、1カ月で完売した。

このマンガは、中南米で初めての日本のエロマンガのスペイン語版。ゆえに、それなりの売り上げも見込める。モラレスさんはエロマンガをベースに安定して稼ぎ、それで得たお金で、本当に手がけたいBL(ボーイズラブ)やラブコメ、ダークストーリーなどの作品を翻訳したい」と将来を見据える。 

モラレスさんがスペイン語に翻訳した日本のマンガ「おとなりの現代エルフのエロ事情」。エロマンガを翻訳することに葛藤もあった

モラレスさんがスペイン語に翻訳した日本のマンガ「おとなりの現代エルフのエロ事情」。エロマンガを翻訳することに葛藤もあった

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