エロは「夢の階段の第一歩」、コロンビア人日本語教師が成人向けマンガで翻訳家デビュー

「現代エルフのエロ事情」を翻訳したメリッサ・モラレスさん。「オノマトペの翻訳に苦労した」と語る

エロマンガは翻訳が難しい 

エロマンガの翻訳は一筋縄ではいかなかった。 

特に苦労したのがオノマトペの翻訳だ。日本のアニメやマンガでは、登場人物の心情をオノマトペで表現することが多いが、スペイン語にそうした文化はない。オノマトペをスペイン語に訳すことはできないので、カタカナやひらがなを残し、そこに注釈を付けた。モラレスさんは「エロマンガは特にオノマトペが多く、苦労した」と振り返る。 

エロマンガゆえの葛藤もあった。モラレスさんは言う。 

「(私のデビュー作を)両親には見せたくない。見せるにしてもカバーと自分の名前が書かれているところだけ。大事な娘がこんな仕事をしていると思われたくない。両親は、私がこの仕事をしたのは知っているけれど、中身まで見せるのはまだ少し怖い。両親は私のことを誇りに思っているし、私はこの仕事を恥じていない。エロマンガと言うことでかっこ良さは幾分減ってしまうが、この仕事に誇りをもっている」 

日本のマンガを広めたい

モラレスさんにとって、エロマンガは翻訳家キャリアのファーストステップだ。最終的な目標は、コロンビア全土に自分が翻訳したマンガを広めること。「日本に興味のないコロンビア人でも普通にマンガを読むようになれば嬉しい」と言う。 

次のステップは「あまり有名ではないが面白い話を翻訳すること」。日本マンガのテーマは多岐にわたる。侍やラブ、暴力といった特定のテーマに特化したマンガもある。モラレスさんは、そうしたマンガを多く翻訳して、「いろいろな日本の作品を紹介したい。ゆくゆくは鬼滅の刃のようなビッグネームの翻訳に挑戦したり、(モラレスさんが日本語を教えるメデジンの施設である)『春のひなた』でマンガの翻訳コースを立ち上げたりしたい」と大きな野望も抱く。 

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