日本とルワンダが双方向で学ぶ学校を作りたい! 永遠瑠マリールイズさんの夢

ルワンダの首都キガリにある「ルワンダの教育を考える会」(TER)の事務所で取材を受ける永遠瑠(とわり)マリールイズ理事長。TERは日本でもNPO法人格をもち、福島市にも事務所を置くルワンダの首都キガリにある「ルワンダの教育を考える会」(TER)の事務所で取材を受ける永遠瑠(とわり)マリールイズ理事長。TERは日本でもNPO法人格をもち、福島市の事務所を拠点に、日本全国で活動する。「ウガリやイソンベ(キャッサバの葉っぱなどを煮込んだ料理)などのルワンダ料理を振舞う新年会を、福島だけでなく、東京でもやりたい」とほほ笑む

「日本人とルワンダ人が双方向で学べる学校を作りたい」。こんな夢を語るのは、ルワンダの貧しい子どもたちが教育を受けられるよう支援するNGO「ルワンダの教育を考える会」(TER)の永遠瑠(とわり)マリールイズ理事長だ。福島市在住のマリールイズさんは日本に帰化したルワンダ人女性。ルワンダを起点に、日本式の教育を広げたいと言う。

ルワンダで部活動!?

「簡単な人生ってありますか。人生はそんなに楽じゃないですよ」

これは、1994年にルワンダで起きた大虐殺(ジェノサイド)で、首都のキガリからコンゴ民主共和国のゴマキャンプまで約200キロメートルの道のりを歩いて逃げ、その後日本にやってきたマリールイズさんの言葉だ。

ルワンダの国内総生産(GDP)成長率をみると、1994年はマイナス50.2%とどん底に落ちたが、その後は7~8%のレンジで順調に推移している。

だがマリールイズさんは「ルワンダをもっと発展させるために、日本式の学校をルワンダに立ち上げたい」と言う。「アメリカンスクールでも、フレンチスクールでもなく日本式。おしんの時代(明治の終わりから戦後まで)からここまで経済を発展させた日本のやり方(教育)をルワンダ人に見せたい」

日本式の学校では、すべての教科を日本語で教えたいという。そうじ、給食、運動会も取り入れる。

マリールイズさんがとりわけ大事だと考えているのが、中学や高校の部活動だ。「暴力はダメだが、厳しいほうがいい。ひとつの目標に向かってチームで目指す、というのが日本の部活の素晴らさ」とべた褒めする。

一生懸命やること。夢中でやること――。この大切さをマリールイズさんは説く。「社会に出てから大事なのは一生懸命やれるかどうか。人生で自分を助けてくれるのは『一生懸命な自分』。これを見失ってはいけない」

キガリでTERはいま、幼稚園と小学校を併設した「ウムチョムイーザ学園」を運営している。およそ200人の子どもが通う。この学園に中学・高校、将来的には大学まで作って、完全な日本式教育を受けられる場を完成させたいとの青写真を描く。

「日本の繁栄・発展を作り上げたのは教育。それをキガリから他のアフリカ諸国へ発信したい」とマリールイズさんは熱く語る。

修学旅行でルワンダ!?

マリールイズさんのアイデアはこれで終わりではない。悩める日本の若者をルワンダに呼び寄せ、自信を取り戻してもらうことも考えている。

日本の不登校の中学生をこれまでに数人、ルワンダに別々に呼んだことがある。ルワンダで現地の学校に行って子どもと一緒に遊んだり、何もない村の生活を体験したりしたところ、立ち直ったという。

日本の若者には日々のありがたみを感じてほしいというのがマリールイズさんの願いだ。「ルワンダの田舎に行くと水すらない。あるのはマメとイモぐらい。お腹が空く。お腹が空くとなんでもおいしい。ご飯を毎日作ってくれる親のありがたさを心で感じてほしい。もちろん、教育を受けられる喜びも」

この取り組みを拡大していくため、マリールイズさんは日本の大学や高校(たとえば修学旅行)などとタッグを組みたいと熱望する。日本の子どもたちがルワンダに来た場合、こんなプログラムを想定している。

・1日目:虐殺記念館でレクチャーを聞く
・2日目:子どもとサッカーやミニ運動会をやる
・3日目:子ども同士でディベート。テーマはたとえば、教師と医者のどちらが重要か(ルワンダと日本の子どもを混ぜたチームを作り、英語も少し使いながら一緒に考える。通訳・メンターが付く)
・4日目:観光(アカゲラ国立公園<サファリ>。この地域の子どもと食事をとりながら交流)
・5日目&6日目:日本人とルワンダ人がペアになってマーケットへ買い物に。アフリカ布で服を仕立てる。ファッションショーも
・7日目:その服を着て飛行機に乗って帰る

「こういったことを本格的にやるためにも、ウムチョムイーザ学園の敷地内に寄宿舎を建てたい」とマリールイズさんは言う。

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