日本とルワンダが双方向で学ぶ学校を作りたい! 永遠瑠マリールイズさんの夢

ルワンダの首都キガリにある「ルワンダの教育を考える会」(TER)の事務所で取材を受ける永遠瑠(とわり)マリールイズ理事長。TERは日本でもNPO法人格をもち、福島市にも事務所を置くルワンダの首都キガリにある「ルワンダの教育を考える会」(TER)の事務所で取材を受ける永遠瑠(とわり)マリールイズ理事長。TERは日本でもNPO法人格をもち、福島市の事務所を拠点に、日本全国で活動する。「ウガリやイソンベ(キャッサバの葉っぱなどを煮込んだ料理)などのルワンダ料理を振舞う新年会を、福島だけでなく、東京でもやりたい」とほほ笑む

生豆でも買える!

夢を夢で終わらせるつもりはない。マリールイズさんはすでに行動に移している。

マリールイズさんが理事長を務めるTERは、こうした夢をかなえようと日本でのファンドレイズに力を入れ始めた。「TERの年間の収入は1000万~2000万円。実現するには最低でも3000万~4000万円が必要」(マリールイズさん)

ファンドレイズの主な方法は2つある。ひとつは会員を増やすこと。もうひとつはルワンダコーヒーを売ることだ。

TERの会員は現在、年額5000円の会員が約160人、月額500円の会員が約60人いる。会員の数を4.5倍の1000人にするのが目標だ。

もうひとつはルワンダの名産であるコーヒーや紅茶の販売だ。TERは先日、ウェブサイトをリニューアルし、コーヒーを前面に打ち出した。マリールイズさんは「アフリカ布の服を何枚も買ってもらうのは大変だけど、(コーヒーや紅茶は)飲んだらなくなる。リピートできるものを売るほうが持続的」と話す。

TERが売るコーヒーは、ルワンダ南部でとれる「マラバコーヒー」だ。最高品質のコーヒーにのみに与えられる称号「カップ・オブ・エクセレンス」に選ばれたこともある逸品。福島県郡山市でコーヒー豆専門店「ダックコーヒー」を約40年営むプロからも「おいしい」とのお墨付きを得た。

キャッチフレーズは「コーヒー一杯で子どもの笑顔をつくれる」。200グラムのコーヒー(豆、粉)の値段は1500円。注文のときに伝えれば、生豆でも買えるという。コーヒーの年間の売り上げは約100万円。この2割がTERの活動資金になる。

カガメ大統領も国賓に贈る

紅茶は、ルワンダ北部でとれるオーガニックの「マウンテンティー」(25パック入り、1200円)。フェアトレードで、また環境に配慮した商品でもあるという。この紅茶は「(ルワンダの)カガメ大統領が海外へのおみやげに持っていくもののひとつ」(マリールイズさん)。

TERを長く支えてくれた支援者が先日亡くなったとき、家族は、葬式の香典返しとしてマウンテンティーを贈った。「父は生前、ルワンダの子どもたちのことを深く思っていた人。その気持ちを最後に伝えておきたかった」と家族はマリールイズさんに話したという。

マウンテンティーを日本で扱っているのはTERだけ。いまは「ブラック」のみだが、今後はショウガ&レモン、タンガウィジ(ショウガ)、レモングラス、ペパーミント、グリーンティーといったフレーバーも展開していく計画だ。

TERは目下、日本の正規代理店になれるよう、マウンテンティーの販売元と交渉中。「うまくいけば、年内(2023年末)か来年(24年)から日本に輸入できる」

こうしたもの以外にも、TERは福島を拠点に、ルワンダ料理を振舞うイベントや講演会などを毎年数回開き、活動資金を得ている。

2024年はジェノサイドから30年と節目の年。「いまは円安で、活動資金をルワンダに送金するのは(目減りするので)苦しいけれど、教育は平和と発展のカギ。ルワンダの子どもたちのために頑張りたい」。マリールイズさんはこう前を向く。

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