ベナンの村に1日100円で5人の孫を育てるおばあちゃんがいた! ウサギで孫の学費を稼げるか

5人の孫をひとりで育てるポリ―ン・ホウドウさん。無料で貸してもらっている赤土の壁の家の中で撮影。物がなく、こぎれいだった(ベナン南西部のクッフォ県ニベ村)

ベナン南西部のクッフォ県ニベ村に、5人の孫を一人で育てる55歳の女性がいる。ポリ―ン・ホウドウさんだ。1週間の稼ぎは、魚などを売って、わずか3000CFAフラン(約600円)程度。この一家が「救世主」と期待を寄せているのが「ウサギ」だ。

ホウドウさんは1月から、2羽のウサギを家の近くの小屋で飼育し始めた。同じクッフォ県のトタ村で活動するNGOサリュトタからつがいで無償で提供されたものだ。

ウサギは3カ月で成長し、1~2カ月に1回のペースで一度に8~10羽産むという。3カ月くらい育てると重さ1.5キログラムくらいになり、3000CFAフラン(約600円)程度の値段がつく。途中で死ぬウサギもいるが、仮に6羽が育てば、3カ月後に3600円ほどの収入が入る計算だ。

ホウドウさんは、18年前に蒸発した息子の子ども(孫)6人のうち5人を育てる。夫はすでに他界。孫は2人が小学生、3人が中学生だ。ベナンでは小学校は授業料がないが、中学校は年間1万5000CFAフラン(約3000円)かかる。3人だと年間約9000円。5人の孫はいずれも17歳以上だが、ベナンでは、入学が遅れた場合、年齢が高い小学生はいる。

夫を目の病気で亡くして苦労してきたホウドウさんは「孫たちには(魚売りの私と違って)より良い仕事に就けるよう、教育を受けさせたい」と話す。

そのために必要になるのがまとまったお金だ。いまは2羽しかいないウサギだが、増え続け、飼育が順調にいけば年間9000円の授業料は最低でもまかないたいとの青写真を描く。

「ウサギを毎日見に行くのが楽しみ」とホウドウさん。たくさん繁殖させ、生活も改善できればと期待を寄せる。

ホウドウさんは20年前まで、服を仕入れて売るという暮らしをていた。だが夫が目の病気にかかり、治療費がかさむようになった。お金が底をつき、服の仕入れが困難に。その代わりに安い魚、ナッツ、塩の売買で生計を立てるようになった。稼ぎは2日でわずか1000CFAフラン(約200円)。5人の孫を育てるにはぎりぎりすぎる生活だ。ちなみに世界銀行の貧困ラインは1人1日2.15ドル(約300円)なので、その15分の1。

ただ一家が暮らす家は、見るに見かねた隣人から無料で借りている。しかし雨漏りがひどいという。いつ追い出せるかもわからない。ウサギで学費をまかなうだけでなく、生活も安定させられるのか。ホウドウさんの将来はウサギの飼育にかかっているといえそうだ。

クッフォ県ニベ村の近くでポリ―ン・ホウドウさん売る魚。「売り切れる」

クッフォ県ニベ村の近くでポリ―ン・ホウドウさん売る魚。「売り切れる」

ポリ―ン・ホウドウさんが売るナッツと塩。村人でも買いやすいよう、ビニール袋に小分けしている(ニベ村)

ポリ―ン・ホウドウさんが売るナッツと塩。村人でも買いやすいよう、ビニール袋に小分けしている(ニベ村)