2012年に海外で援護された日本人は2万人以上、20人が殺害

2012年に海外で援護された日本人の数は2万378人(前年比4.3%増)に上ったことが9月6日、外務省が公開した「2012年海外邦人援護統計」でわかった。この統計は、日本の在外公館と財団法人交流協会が、海外で事故や災害、犯罪などに遭った日本人を援護した人数・件数をとりまとめたもの。

援護された人のおよそ3割が「犯罪の被害者」で、その数は5852人だった。内訳は、窃盗が4761人で断トツ。以下、詐欺496人、強盗309人が続く。殺されたのは20人(アジア7人、中東6人、中南米3人、欧州2人、大洋州1人、北米1人)。

「犯罪の加害者」になったケースもあり、396人が援護された。詳細をみると、不法滞在・入国や密入国幇助などの出入国・査証関係114人、飲酒してけんかしたり、家庭内暴力(DV)などの傷害・暴行52人、道路交通法の違反38人など。また、国によって非常に重い刑が科される「麻薬犯罪」は38人。これは大麻の不法所持が多い。

「事故・災害」で援護されたのは455人。この6割は交通事故だった。残りの4割は、スポーツや水、登山絡みの事故。

また援護された人のうち死亡者は537人だった。疾病などによる死亡が399人で全体の約7割を占めた。自殺者は49人。

さらに援護者の数を地域別にみると、アジアが7172人で最多。以下、北米5929人、欧州4737人、中南米1276人、大洋州558人、アフリカ429人、中東277人の順。前年と比べ、件数ベースで、北米と欧州がそれぞれ19%、11.3%増えた。対照的に、大洋州とアフリカはそれぞれ15.5%、7.2%の減少。

このほか、暴動・政変などにかかわる援護では、4月にパキスタン・ギルギット地区で急激に治安が悪化し、同地を訪れていた観光客が多数足止めされたため、同国空軍機で日本人旅行者77人を首都イスラマバードに移送した。またシリアでは8月、ジャーナリストの山本美香さんが戦闘取材中に射殺されている。

全在外公館で援護件数が最も多かったのは、在上海総領事館の1369件。次いで、在タイ大使館、在フランス大使館、在英国大使館、在ロサンゼルス総領事館、在フィリピン大使館、在ニューヨーク総領事館、在韓国大使館、在ホノルル総領事館、在サンフランシスコ総領事館が上位10公館。