2014年の「世界男女格差指数」、途上国のベスト3はニカラグア・ルワンダ・フィリピン

1101男女平等指数、上位[1] 男女格差が最も少ないとされた上位18カ国。スコアは1が「平等」、0が「不平等」

世界経済フォーラム(WEF)は10月28日、「世界男女格差指数2014」を発表した。最も男女平等に近いとされたのはアイスランドだったが、途上国に限定するとトップはニカラグアの6位。以下、ルワンダ7位、フィリピン9位、ブルンジ17位、南アフリカ18位と続く。主要ドナー(援助国)である米国は20位、英国は26位、日本は104位。最下位(142位)はイエメンだった。この指数は、「健康」「教育」「経済」「政治」の4分野の男女格差を数値化し、総合したもの。

■サブサハラから3カ国が上位20に

アジア・太平洋地域では、フィリピンが前年の5位から順位を下げたものの、依然として地域トップを堅持した。他の域内途上国をみると、モンゴル42位、ラオス59位、タイ60位、中国87位、インドネシア97位などと総じて低く、フィリピンの断トツぶりがわかる。インドは、経済発展が目覚ましいBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の中で最低の114位。女性の労働参加が縮小したことが理由だ。

ラテンアメリカ・カリブのトップ(6位)に付けたニカラグアは、男女平等の分野でこの地域のリーダーとしての立場を強めている。健康、教育、政治で男女格差が改善されてきたことが大きい。以下、エクアドル21位、キューバ30位、アルゼンチン31位、バルバドス33位、バハマ35位、ペルー45位など。ブラジルは教育、健康の分野で男女格差を縮めたものの、前年から9つランクダウンして71位だった。

中東と北アフリカは男女格差が最も大きい地域だ。最上位のクウェートでも113位。クウェートは、女性を含む全般的な収入増加がプラスの評価を得た。アラブ首長国連邦(UAE)は順位こそ115位に下げたが、経済、政治分野の女性参加で進展があった。イエメンは、この調査が始まった2006年から9年連続の最下位。

サブサハラ(サハラ砂漠以南)アフリカでは、上位20カ国にルワンダ、ブルンジ、南アフリカの3カ国がランクイン。7位で域内トップのルワンダは、経済、政治への女性参加で高得点を記録した。アフリカの経済大国ナイジェリアは118位にとどまっている。

■男女格差が最大なのは「政治」

2006年から現在までのトレンドについてWEFは「継続して取り上げてきた11カ国のうち105カ国で男女格差は縮まった」と、女性が政治や労働に進出したことから男女平等は大幅に進んでいる点を評価した。ただスリランカ、マリ、ヨルダン、チュニジア、クロアチア、マケドニアの6カ国は男女格差が逆に広がっている。

今回測定した142カ国で、男女格差が最も小さい分野は「健康」だ。平等を100とすると、96%と平等に近い水準。35カ国では不平等は完全に解消されたとしている。過去9年で男女間の健康格差が最も改善したのはアンゴラ。ただ健康格差が逆に広がった国も40%以上ある。最悪はインド。

その次に男女格差が小さい分野は「教育」で94%。25カ国では格差はもはやない。とりわけブルキナファソとネパールで大きな改善があった。その一方で、30%近い国で男女間の教育格差が拡大。その代表がアンゴラだ。

男女格差が最も大きいのは「政治」だ。その割合は21%と平等にはほど遠い。ただ改善は進んでいる。9年前と比べて世界では女性議員の数は26%、女性閣僚は50%増えた。UAEとニカラグアは改善が大きく、ボツワナとスリランカは停滞した。

「経済」では、ネパールやボツワナは女性の労働参加の割合が増加し、クウェートでは女性の収入もアップした。また、企業の役員・管理職など役職の高い女性が最も増えた国はマダガスカルとホンジュラス。

これまでのトレンドに基づきWEFは、男女格差が完全になくなるのは81年後の2095年では、と予想する。

世界男女格差指数2014の下位にランクされた国々。中東諸国が目立つ

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