アンコールワットの街にある路地裏のスケート場、週5回通う中学生「友だち100人できた」

カンボジア・シェムリアップのローラースケート場の中。ボット・メインホーさん(左)がジャンプ技を決めると、拍手・歓声が沸き起こる

カンボジア・シェムリアップにあるローラースケート場K2は地元の若者に人気の遊び場だ。外国人観光客の目にとまらない路地裏にあり、大きさは小学校の体育館ほど。中に入ると、洋楽やK-POPのヒットチャートをBGMに、スケーターらはジャンプやスピンを決めたり、初心者に手を貸したり、人とのつながりが生まれる。「ここでたくさん友だちができた」と来場者は口を揃える。

■若者が集まる

K2には1日約50人の若者が訪れる。料金は1時間2500リエル(約60円)、営業時間は午前7時30分から午後8時30分まで。学生が始業前や放課後に通う。シェムリアップの中学生ボット・メインホーさんは「K2で知り合った友だちとこの後、遊びに行く約束をしている」と話す。

彼は2013年からの常連だ。現在は週に3~5回やってきては1日2~3時間滑る。「ここに来れば、年齢を問わずみんな友だちになる。ここで100人の友だちができた」と笑顔を見せる。

■スケート場が一体に

スケーターらはみんな一心に滑る。K2には技を見せるポイントが4カ所あり、上級者はこぞって技を披露する。成功すれば周りから拍手喝采を浴び、また転倒するとエールが送られる。時には笑いが起きて、スケート場の空気が和むことも。自分が滑っている最中でも、見ず知らずの人の挑戦する姿に会場が一体となって反応する。

ボット・メインホーさんは「スケートは個人で技を競うことができるから好き。ジャンプをもっと成功させて目立ちたい。(他のスケーターの技が気になって常に見ているから)他人が技を決めると自然に拍手をしてしまう」と語る。

■助け合いの精神

K2には上級者だけでなく、立つのもままならない初心者もいる。リンクの入り口で立ち止まっている人には、誰からともなく集まってきて手を引いてくれる。転倒し、立ち上がれない人にも手を差し伸べてくれる。

シェムリアップの高校に通うロン・ルッタナンさんは「スケートは転ぶと痛い。だからすぐやめようと思った。けれど、転んだ時に助けてくれる人たちと会話が弾み、それが楽しくて何度か通ううちに上達した」と喜ぶ。彼もまた1カ月前にK2で知り合った友人とスケート場で待ち合わせをしていた。

小学生から大学生まで、年齢を問わずコミュニケーションをとり、仲良く滑る。個人技だけでなく、団体技に挑戦する子どもたち(カンボジア・シェムリアップのローラースケート場で)

小学生から大学生まで、年齢を問わずコミュニケーションをとり、仲良く滑る。個人技だけでなく、団体技に挑戦する子どもたち(カンボジア・シェムリアップのローラースケート場で)