「ソフトボールは僕にとって第2言語!」 フィリピン女子代表コーチの鈴木雅也さん

代表選手へトスを上げる鈴木さん。フィリピン代表チームは4月のアジア大会で4位に入り、7月に行われるワールドカップ予選の出場権を獲得した(写真:本人提供)代表選手へトスを上げる鈴木さん。フィリピン代表チームは4月のアジア大会で4位に入り、7月に行われるワールドカップ予選の出場権を獲得した(写真:本人提供)

「ソフトボールのコーチを始めて、チームスポーツの素晴らしさを再認識している」。こう笑うのはフィリピン女子ソフトボール代表チームのコーチを務める鈴木雅也さんだ。フィリピン・マニラに住む鈴木さんの本業は、英語のオンライン教材を作ること。そのかたわら、フィリピン人選手の指導にも汗を流す。

ボランティアで毎朝5時起き

鈴木さんの朝は早い。毎朝5時に起きてすぐに、ベーブ・ルースもホームランを打ったといわれるリサール・メモリアル・スタジアムへ向かう。ここで6時から9時まで選手を指導。その後、英語の教材を作る。これが鈴木さんの日課だ。

鈴木さんはかつてソフトボールの選手だった。愛知県の名門・豊川高校のソフトボール部でインターハイに出場。愛知県選抜にも選ばれ、4番センターとして活躍した。スポーツ推薦で国士館大学に進んだ後、日本の食品メーカーを経て、オンライン英会話サービスを提供する現在の会社に就職。2018年末、海外拠点のあるフィリピン・セブに転勤した。

鈴木さんが再びソフトボールにかかわり出したのはコロナ禍が落ち着き始めた2021年。フィリピンのソフトボール協会の紹介で、セブの高校でコーチをするようになった。また長期休みはマニラにあるアダムソン大学でも指導を始めた。日本でいう関東六大学野球で毎年優勝するようなソフトボールの強豪だ。

「英語教材を作るのもやりがいを感じていた。だが満たされない部分があった。ソフトボールに再び携わって、みんなで一緒に頑張るというチームスポーツの素晴らしさを再認識した」(鈴木さん)

アダムソン大学で一緒に指導する女性コーチは、フィリピン女子ソフトボール代表のコーチも務めていた。彼女の誘いもあり、鈴木さんは本格的にフィリピン代表女子チームをサポートしようと決意。2022年に拠点をマニラに移した。

毎朝5時起きのソフトボール指導は完全なボランティア。だが鈴木さんは意に介さない。

「情熱はここ(ソフトボール)にある。毎朝、選手にノックをするのは楽しい。そんな自分のことも結構気に入っている」

マニラの子どもたちにソフトボールを教える鈴木さん(左から3人目)。鈴木さんが指導するのは子どもたちからフィリピン代表選手までと幅広い(写真:本人提供)

マニラの子どもたちにソフトボールを教える鈴木さん(左から3人目)。鈴木さんが指導するのは子どもたちからフィリピン代表選手までと幅広い(写真:本人提供)

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