戦略的「エロ」のすすめ、コロンビアでマンガを売るスタートアップの挑戦

2023年3月にドーガエディトレスとロクラマンガラインを同時に立ち上げた、ファン・マヌエル・カジェさん(30歳・男性)。「売りたいのはあくまで、BL(ボーイズラブ)やダークファンタジーといった普通のマンガ。金儲けのためだけにエロを売っていると思われたくない」と本音を語る。コロンビア・メデジンで2023年3月に、ドーガエディトレスとロクラマンガラインを同時に立ち上げたファン・マヌエル・カジェさん(30歳)。「売りたいのはあくまで、BL(ボーイズラブ)やダークファンタジーといった普通のマンガ。金儲けのためだけにエロを売っていると思われたくない」と語る

友情や家族・きょうだい愛も

ドーガエディトレスの目的は、日本とコロンビアをマンガでつなげることだ。カジェさんは「コロンビア人の誰もがマンガを持っている状態にすること。数値的には、コロンビアのマンガの市場規模をメキシコやアルゼンチンと同等にしたい」と言う。

その理由は、マンガの素晴らしさをコロンビア人に伝えたいから。カジェさんと彼の同僚で翻訳家のメリッサ・モラレスさん(女性、29歳)は生粋の日本文化(マンガ、アニメ、映画)好きだ。彼らが挙げた日本マンガならではの魅力は3つある。

まずは、ストーリーの良さだ。日本マンガのストーリーには「生きるための教訓」や「フィロソフィー」が暗示されている。例えば、ナルトは「友情」を中心に「家族愛」や「きょうだい愛」などを描く。

登場人物の心情を表現する手法も「秀逸だ」と言う。日本の作品では、心情を風景や、音、オノマトペなどで間接的に描く。こうした文化は「スペイン語圏にはない」。モラレスさんは、特に「もののあわれ」の世界観が好きだと話す。

最後は、ジャンルの豊富さだ。モラレスさんは「欧米や中南米の作品は同じようなストーリーばかりで退屈だが、日本の作品は『友情』『青春』『家族』『恋愛』『死』『共生』などテーマがたくさんある。また、それらを『歴史』『日本文化』『スポーツ』『音楽』『ダークファンタジー』などさまざまな切り口から描いているから飽きない」と熱く語る。

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