【ダカールの寺子屋①】ストリートチルドレンを保護・自立を助けるNGO、今晩もダカール市内を奔走中

ストリートチルドレンに傷の手当てをするビラージ・ピロットのスタッフ。毎週2回ダカール市内を周り、ストリートチルドレンの安否を確認する

アフリカ一民主的といわれ、経済が近年大きく成長している西アフリカのセネガル。だが首都ダカールを歩けば、物乞いするストリートチルドレンの姿をよく見かける。こうした子どもたちを保護し、自立させるのが地元のNGOビラージ・ピロットだ。ビラージ・ピロットを追う連載を4回でお届けする。第1回は「移動聞き取り」と呼ばれる活動に密着した。

夜の捜索

「さあ、そろそろ出発しよう」

日も沈んだ夜の8時、ビラージ・ピロットのスタッフで、移動聞き取りチームのリーダー、シェークがダカール市内の自宅でこう告げた。待機していたスタッフのアジズとフランス人ボランティアのリゾンが立ち上がり、車に乗り込む。車はダカールの繁華街へと出発した。

ビラージ・ピロットは、ダカールのストリートチルドレンをサポートするNGOだ。道端で生活している子どもを保護し、親元を探したり、職業訓練を無償で提供する。その数は毎年400人以上にのぼる。

私が今回同行するのは、その最初のステップとなる移動聞き取りだ。ビラージ・ピロットは毎週水曜日と金曜日の夜、ダカール市内を巡回する。ストリートチルドレンと定期的に顔を合わせて、保護へとつなげるのだ。

目的地に到着すると、スタッフは黄色の蛍光ベストをつけ、ストリートチルドレンへの聞き取りを始めた。

関係を築く

最初に話を聞いたのは道端に座っていた6人。チルドレンというより高校生くらいの年代だ。ボロボロの服を着た彼らはみんなで一箱のチェブジェン(セネガルの炊き込みご飯)をつついていた。

アジズは彼らの名前、年齢、出身地、親の名前などを聞き、リゾンがそれを書き留めていく。6人のうち2人は新顔のストリートチルドレンだった。アジズは彼らに対して、ビラージ・ピロットの受け入れセンターに入れば寝食が保証されることや職業訓練も受けられることを熱心に説明した。

リーダーのシェークは6人にお菓子や缶詰を配りながら、ご飯は食べられているか、危険な目に遭っていないか、などフランクに聞いていく。また最近の犯罪の情報やドラッグの危険性、季節の変化による体調管理など、さまざまなアドバイスをしていた。

次に訪れたのはダカール西部の沿岸道路沿い。ここでは2人の子どもが足にけがを負っていた。するとアジズは救急箱を取り出し、慣れた手つきで消毒、止血をし、包帯を巻いていった。

「ストリートには裸足の子どもも多い。ちょっとした擦り傷から感染して、炎症を起こしかねない」(アジズ)

毎週同じ時間に現れ、食べ物やけがの手当をしてくれるビラージ・ピロットのスタッフ。子どもたちも彼らに対して心を開いているようだった。

ビラージ・ピロットのスタッフは「移動聞き取り」をする際に黄色のベストを着用する

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