5つの肩書きを持つセネガルの20歳、自分の限界を超えてハリウッドで活躍したい

俳優を育てていくオーディション映画 「Le Pacte」の参加証明書を手にするバシルさん。その表情には喜びと持ち前の柔らかさがにじむ

初めての報酬は1万6500円

バシルさんは2025年10月、アフリカ大陸の王者を決めるサッカー大会アフリカネイションズカップの開催期間中に開かれたファッションショーに出演した。アフリカ各国から約30人のモデルが参加する舞台だった。

このショーでバシルさんが受け取ったのは6万CFA(約1万6538円)。スタンダードな金額だったが、バシルさんにとっては初めての報酬だ。「一人前のモデルになったように感じた。照明やカメラマン、招待客に囲まれてレッドカーペットに立った瞬間は忘れられない」

このお金はファッションショーのための靴、アクセサリー、下着に使ったという。

バシルさんが目指すのは、セネガルでナンバーワンのモデルになること。将来はフランスをはじめ、海外でも活動したいと夢を描く。

俳優オーディションで12人に残る

バシルさんは今年に入って、映画俳優の道も歩み始めた。ずっと前から抱いていた夢だ。「自分の限界を超えたい。まだ知らない自分の一面を発見したい」とバシルさん。現在は俳優として初めての映画を撮影中だ。

映画のタイトルは「Le Pacte(ル・パック)」(フランス語で「固い約束」の意)。俳優を育てていくオーディション映画だ。353人が生徒役として参加し、バシルさんもそのひとり。教師役の俳優が演技指導をし、生徒をふるいにかけていく。

2カ月を経て最終的に残ったのは12人。バシルさんもそこに名を連ねる。

ル・パックは撮影後に一般公開され、オーディエンスが「ナンバーワンの俳優」を決める。勝者は次の作品への出演切符を得る。バシルさんにとっては大きなチャンスだ。

バシルさんの将来の夢は、ノリウッド(ナイジェリアの映画界)、ボリウッド(インドの映画業界)、そしてハリウッド(米国の映画界)への進出だ。

バシルさんは言う。

「アートは喜びだし、人生を豊かにしてくれるツール。世界的な映画への挑戦も自分を高めるためのものだ。将来はモデル、俳優、絵画をカバーする『完全なるアーティスト』を目指したい」

取材中、自分の出演した写真や動画を筆者に見せながら一つひとつ説明するバシルさん

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