2026年の「世界平和度指数」報告書の表紙。紛争は増え続け、世界全体の平和度は12年連続で悪化したオーストラリア・シドニーに本部を置く国際シンクタンク「経済平和研究所」は6月9日、紛争が絶えない世界情勢を反映した2026年の「世界平和度指数」を発表した。平和度が最も低い国とされたのはロシアだった。世界全体の平和度は12年連続で悪化。世界の軍事費は2025年に過去最高の2兆9000億ドル(約470兆円)に達した。
ウクライナの軍事費はGDPの4割
世界平和度指数は、「社会の安全性」「国内紛争・対外紛争への関与」「軍事化の度合い」の3つの分野(23の指標)をもとに算出するもの。2026年版の対象となったのは163カ国・地域だ。
ワースト10は、最下位(163位)のロシアに続き下から、スーダン、コンゴ民主共和国、ウクライナ、イスラエル、南スーダン、アフガニスタン、イエメン、シリア、マリの順。こうした国の多くに共通するのは、内戦、国家間の紛争、また一部の国では政府の崩壊が同時進行していることだ。ワースト10以外にはミャンマー(151位、ワースト13)、パレスチナ(148位、同16)、ベネズエラ(133位)などが並んだ。
ロシアのワースト転落は、2022年に始めたウクライナ侵攻の長期化が響く。軍事費が対国内総生産(GDP)の7.5%を占めるなど高止まりしていることに加え、政情不安、対外関係の悪化など複数の指標が同時に悪化した。ロシアは世界平和度指数ランキングで下位の常連だったが、ワーストになったのは初めて。
ちなみにロシアと抗戦するウクライナの軍事費はGDPの40%と突出している。イスラエルの7.8%、米国の3.1%、中国1.7%などと比べてもその異常さは歴然。世界平均2.5%の16倍に達する。
スーダン内戦では金が戦費に
ワースト2位だったスーダンも深刻だ。スーダン国軍と、これに反旗を翻した準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」との間の内戦が2023年に勃発。この内戦を経済平和研究所は「世界で最も深刻な人道危機」と表現する。
これまでに1200万人以上が国内外に逃れた。海外の避難先はチャド、エチオピア、南スーダン、エジプト、中央アフリカ共和国などだ。難民を受け入れる隣国にとって財政、治安への負担は重荷だ。スーダン内戦はいまや、スーダン一国にとどまらず、周辺国を巻き込みながら広がりつつある。
武器などの購入資金として問題視されるのが、スーダン西部のダルフール地方などからとれる金だ。国軍とRSF双方がこの金を戦費に充てているという。
金の国際相場は2026年に入って1オンス4000ドル台(1グラム約133ドル=約2万1500円)と最高値を付けた。2012~24年の13年でチャド、リビア、中央アフリカ共和国、南スーダン、エジプトを経由してアラブ首長国連邦(UAE)に密輸された金は推計400トン。現在の相場で計算すると約532億ドル(約8兆6000億円)に相当する。
スーダンの内戦は、紛争が資源密輸ネットワークと結びつき、周辺国を巻き込みながら長期化・広域化する典型例だ。













