日本のODAをOECDがレビュー、「後発開発途上国をもっと援助すべき」

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経済協力開発機構(OECD)は、日本の政府開発援助(ODA)のやり方を評価する「開発協力相互レビュー」最新版の概要(外務省のページ)をホームページに掲載した。このなかで、防災や保健分野(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ=すべての人が基礎的保健医療サービスを受けられること)などで日本は影響力を発揮できている半面、支援を最も必要とする国や人に焦点をもっと当てるべきと問題点を指摘した。

レビューによれば、日本は2012~13年にODAを36.6%増加させた。13年のODA総額は118億ドル(およそ1兆2000億円)。ミャンマーに対する債務免除や二国間の有償資金協力の増加がODA支出を押し上げた。

この結果、金額ベースで日本は世界4位の援助国となった。国民総所得(GNI)に対するODAの比率も、12年の0.17%から0.23%に上昇。だが、開発援助のルールを定めるOECD開発援助委員会(DAC)は、国連目標の「GNI比0.7%」には依然として到達していない、とさらなる改善を促している。

日本が供与する援助先は世界でおよそ140カ国に上る。しかしその7割はアジアの中所得国だ。後発開発途上国(LDC)向けは、日本の2カ国間ODA総額の4分の1にとどまっている。この比率は、欧米をはじめとするDAC加盟国(援助国)平均の41%を大きく下回る。

こうした実態を背景にDACは日本政府に対し「国際コミットメントに留意しながら、LDCをはじめとする支援が最も必要な国にODAの配分を増やすこと」と提言した。DACはまた、開発協力のすべての分野で「貧困削減のインパクト」を日本政府が測定・モニタリングするよう忠告した。「日本の援助が多くの国で貧困削減にどう貢献できているのかを示すことで、日本政府は実績をより明らかにできる」(エリック・ソールハイムDAC議長)

レビューはまた、前回(2010年)のレビューでDACが日本政府に提言した項目のうち、「タイド援助(ひも付き援助)率の減少」と「脆弱国へのより柔軟なアプローチ」で進展が見られなかった、と指摘。さらに、もっと戦略的な“ODAコミュニケーション”を実施すべきで、これにより、開発援助に対する日本国民の理解と支持が得られるようになるだろう、と述べた。

開発協力相互レビューは、開発援助のパフォーマンスをモニターし、過去のコミットメントへの説明責任を果たし改善を促すため、各DAC加盟国に対して4~5年ごとに実施するもの。(堤環作)