【グロフェス2013】「日本への連帯示したかった」、駐日スリランカ大使が日本への思い語る

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東京・日比谷公園で10月5~6日、日本最大級の国際協力イベント「グローバルフェスタJAPAN2013」が開催された。5日のサブステージイベント「光り輝く島スリランカ、津波からの復興がつなぐ、国境を越えた絆の物語」では、カランナーゴダ駐日スリランカ大使や、インド洋大津波以来10年にわたってスリランカで防災分野に携わる国際協力機構(JICA)専門員の石渡幹夫氏らほか2人が登壇し、2004年のインド洋大津波への日本からの支援、2011年の東日本大震災へのスリランカからの支援について語った。イベント参加者は、日本とスリランカの絆の話に静かに聞き入っていた。

カランナーゴダ大使は東日本大震災への支援について「スリランカは小さな島国ながら、できる限りの支援をしました。日本とスリランカの連帯を示したかったからです。たとえ、他のどの国が日本を支援しなくともスリランカは支援したでしょう」と当時を振り返った。

東日本大震災の14日後には、カランナーゴダ大使が自ら指揮し、持てるだけの紅茶を携えて宮城県の気仙沼へ向かい、被災地の人たちへ紅茶を配布した。その1週間後には大使や大使館職員と在日スリランカ人らが福島で5000食のスリランカカレーをふるまった。その後、スリランカから15人の救助隊を派遣し、宮城県石巻市で3週間、救助活動にあたったという。

東日本大震災発生直後は、ほぼ全ての海外の航空会社が放射能の影響を心配して成田便を止めたが、スリランカのラジャパクサ大統領は「乗客がたとえ1人もいなくてもスリランカ航空は成田へのフライトをやめない」と宣言したという。また、スリランカ各地の宗教指導者に、日本の被災地の人々のために追悼の集会を開くように指示を出した。

復興をきっかけとした日本とスリランカの交流は今も続いている。NPO法人つどいによって岩手県とスリランカの女性同士の交流が交わされていて、2013年の8月には岩手県大槌・釜石からスリランカへ、9月27日~10月1日にはスリランカから大槌・釜石へ訪問し、津波の経験を語り合った。互いに人種も生きる環境も異なるが、多くの共感があったという。

イベントの最後にカランナーゴダ大使は日本人へメッセージを送った。「スリランカは2009年の内戦終結後、日本の政府開発援助(ODA)のおかげもあり、急速な発展を遂げています。日本のみなさまに本当に感謝しています。また、政治家の岡田克也氏や麻生太郎氏はスリランカへ、ラジャパクサ大統領は日本へ訪問するなど二国間の関係はとても高いレベルです。スリランカは多くの観光地があり、治安もとても良い国。日本のみなさま、観光客としてぜひスリランカへ遊びに来てください」(田中美有紀)