アブダビ首長国にある観光客に人気のモスク。筆者はドバイの旧市街のスーク(市場)で買った、イスラム教の女性が身につけるスカーフとドレスを着ている
ドバイだけ見てUAEは語れない
最後は、私が5カ月暮らしたドバイ。思い入れが強く、ランク付けは難しい。日本では見られないほどきれいな、高層ビルの輝きが暗闇に映えるドバイの夜景は、他の首長国から帰ってくるたびに安心感を私にもたらしてくれた。コロナ禍にならなければ行かなかっただろうドバイに、いつの間にか「ホーム感」が芽生えたと思う。
日本に帰国した今、どこかに出かけたり帰ってきたりするたびに私は、実家の玄関に飾る1枚の絵を見る。立体的に浮き出た、先頭から徐々に小さくなっていく7頭のラクダが縦一列に並んで歩くようすが描かれたものだ。ドバイの旧市街アルファヒデイ地区にある土産物屋で一目ぼれして買った。
絵の作者兼店のオーナーが「ラクダが7頭なのは、UAEの首長国が7つあるからだよ」と説明してくれたことを思い出す。7つの首長国をすべて訪れたからこそ私は「全部そろって初めてUAE。ドバイだけ見てUAEは語れない」と愛着が湧く。
数字の7といえば、ラッキー7、虹、七福神など幸せのイメージ。7頭のラクダが1つのキャラバンを組むこの絵の通り、7首長国には仲良く未来を歩んでいってほしい。
UAEと日本は今年(2022年)、国交樹立から50年経った。6つの首長国がまとまって(RAKは72年に加入)UAEが誕生したのはその1年前の1971年。その前年(1970年)に日本で開かれたのが大阪万博だった。2020年にはドバイ万博へ受け継がれ、2025年には再び大阪に戻ってくる。
最初の大阪万博ではまだ実在していなかったUAE。まだまだ知られていない「未知の世界UAE」が次の大阪万博でスポットを浴びたら嬉しいな、とUAE大好きの私は願うばかりだ。(終わり)