世界の難民・国内避難民1億1780万人へ10年ぶり減、「強いられた帰還」が増えただけ

6月20日の「世界難民の日」にあわせてUNHCRが毎年発表する「グローバルトレンド」の2025年版の表紙

第三国定住が激減、“トランプショック”で

母国や避難先以外の第3の場所に難民を受け入れるUNHCRのスキーム「第三国定住」の利用者の数が激減したのも2025年の重要な動きだ。2025年は8万1800人にとどまった。前年の18万8800人から6割近く減った。

最大の要因は米国の政策転換だ。トランプ政権は2025年1月に署名した大統領令で、難民受け入れプログラムを一時停止。この結果、米国への難民受け入れが大幅に落ち込んだ。2025年の第三国定住を使った難民の定住先はオーストラリア(3万8800人)、カナダ(1万8800人)、フランス(1万1500人)、米国(3100人)の順だった。

UNHCRが2025年に「第三国定住が必要」と推定した難民は290万人。ニーズの3%も満たしていないという。

スーダン・イエメン・ベネズエラ‥‥

グローバルトレンド2025によると、紛争や迫害などで故郷を追われた1億1780万人の内訳は、国内の別の地域に逃れた国内避難民6870万人、海外に出た難民4160万人、庇護申請者900万人。世界のおよそ70人に1人(1.4%)が難民・国内避難民などとなる計算だ。

国内避難民を最も多く出した国は上から順に、スーダン(910万人)、イエメン(720万人)、シリア(600万人)、コロンビア(480万人)、アフガニスタン(440万人)。また難民を多く出した国は、ベネズエラ(650万人)、ウクライナ(520万人)、シリア(490万人)、アフガニスタン(370万人)、スーダン(280万人)の順。

対照的に難民を多く受け入れるのは、イラン(280万人)、ウガンダ(270万人)、トルコ(240万人)、ドイツ(190万人)、コロンビア(170万人)、チャド(150万人)が上位6カ国。難民の65%は出身国に隣接する国にとどまり、また難民の68%を受け入れるのは先進国ではなく低・中所得国だ。

難民の7割は5年以上、母国を離れて暮らす。東アフリカ・南部アフリカ地域のUNHCR登録データの分析では、難民・庇護申請者が避難先に滞在する中央値はおよそ16年に達するという。0~5歳で登録された子どもはとくに長期化する傾向があり、子ども時代のすべてを難民として過ごす。

ブルキナ・マリでは過激派が跋扈

難民・国内避難民、帰還民の統計では上位に入ってこなかったが、サヘル地域の状況も悪い。2025年はブルキナファソから22万1300人、マリから17万7200人が他国へ逃れた。イスラム過激派の武装勢力が反乱を起こしているためだ。政府がこれを抑え込もうにも、かつて駐留していたフランス軍を追い出したこともあって軍事力で対抗できない。国土の大部分で不安定な状況が続く。

さらに2026年2月下旬以降の動きとして、イスラエルと敵対するイラン、レバノンで戦闘が激化したことで、レバノン国内では100万人の国内避難民が、イランでは320万人が一時避難しているという。

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