タイ北部チェンマイ在住の元PDF兵士ジャバさん(仮名、27歳)。戦地でけがをした時にたまたまだ出会った衛生兵が親せきだった、とジャバさん。除隊後にチェンマイで再会したミャンマー国軍と戦う民主派の武装組織「国民防衛隊(PDF)」で壮絶な経験をしたミャンマー人がいる。タイ北部の街チェンマイに住むジャバさん(仮名、27歳)だ。「軍政が奪いとったのは民主主義という制度だけではない。ミャンマー市民の胸にあった希望であり、踏み出す勇気であり、若者の未来そのものだ」と語る。
頭に重傷を負った兵士は死を懇願した
ジャバさんは2021年6月12日、ミャンマー中南部のバゴー管区タウングーでPDFに入隊した。同年9月20日までの約3カ月間、基礎的な筋力トレーニングや射撃練習、水泳など過酷な訓練を重ねた。12月には40人の部隊とともに東部のカレン州タンダウンジーへ移動し、前線派遣に備えた。銃を所持し、また土地勘もあったため恐怖心はなかったという。
最前線に初めて立ったのは2022年4月19日。PDFが使っていた銃はタイから持ち込まれた粗悪品が多く、故障が相次いだ。一方、兵器製造工場をもつ国軍は高品質の銃を潤沢に所有していた。戦場で突きつけられたのは圧倒的な装備の差だった。
戦場は凄惨を極めた。地雷を処理する際の爆死、増水した川での溺死、地雷で脚が飛ばされた末の死、ドローンの爆撃による死など、所属する部隊の仲間が次々と命を落としていった。
2024年1月15日、ジャバさん自身も戦車からの砲撃を受け腰に重傷を負った。頭に被弾した隊員は彼の腕の中で「おれたちは仲間だろ。殺してくれ」とつぶやいた。生死の境をさまよう隊員を担いで拠点まで連れ戻したが、治療の甲斐なく4時間後に息を引き取った。
国軍は当時、PDFの潜伏先を特定できない腹いせに周辺の村人を拷問し、虐殺を重ねていた。村人を守るために始めたはずの活動が結果として村人を苦しめる原因になっている――その苦悩と、PDFの兵士としてできることはやり尽くしたとの思いから、彼は2024年2月、PDFを除隊した。

写真に映る右腰の傷跡は、ジャバさんがPDFの兵士だった2024年1月に負った弾痕だ。
当時行動をともにした隊員の中で、自分が最も軽傷だったと語る

国軍の拷問で犠牲となった一般市民の顔を映した写真。異形に変わり果てた顔面が国軍による人権侵害の深刻さを物語る














