俳優を育てていくオーディション映画 「Le Pacte」の参加証明書を手にするバシルさん。その表情には喜びと持ち前の柔らかさがにじむセネガルの首都ダカールで暮らすマムール・アムディ・バシル・ンドゥールさん(20)は、モデル、俳優、ミス・ユニバース・セネガルのSNS(インスタグラム)担当、家庭教師、大学生という5つの顔を持つ。仕事で自らの学費と生活を支えながら、世界の映画産業への挑戦を思い描く。その原動力はアートへの情熱だ。
4つの仕事で学費も生活費も
おばとは暮らすものの、バシルさんは20歳にして自立している。実家からの仕送りはない。
彼が最も優先するのは学業だ。ダカールのメルモーズ地区にある私立の高等教育機関アフリカ経営学院(IAM)でコンピュータサイエンスを学ぶ大学3年生。年間の学費は約150万CFAフラン(約41万3000円)。すべて自分の稼ぎから払う。
「本当は建築を学びたかったけれど、学費が高くて諦めた。また留学を希望したすフランスのビザも取れなかった。コンピューターサイエンスは仕方なく選んだ。最初は興味を持てなかった」とバシルさんは本音をもらす。
4つの仕事の中で最も安定した収入源は家庭教師だ。3人の高校生に数学と理科を教える。時給は5000CFAフラン(約1377円)。週2日、1回2時間の授業を受け持つ。家庭教師、モデル、ミス・ユニバース・セネガルのSNS広報の3つの仕事を合わせれば、1カ月に30万CFAフラン(約8万2600円)ほどを稼ぐという。「とくに家庭教師の時給5000CFAフランは高い」と満足げだ。
ミス・ユニバース・セネガルのSNS広報の仕事では、アカウントの運営と画像加工を担当する。報酬はイベントごとに受け取り、大きなイベントほど金額も高くなるという。ほかにもコンピューターサイエンスの知識を生かしスポットでウェブサイト制作の仕事も受ける。
身長188センチ、体重64キロのバシルさんは、セネガルで有名なモデルでもある。モデルを志したきっかけはダカールでも有数のモデル事務所の一つエル・モデル・エージェンシーのモデル募集のポスターを見つけた友人からの勧めだ。
2025年1月に応募し、採用された。その時の心境は「本当に驚いた」。すぐにモデル活動を始めた。
2026年はこれまでに3つのファッションショーに出演した。
年内には、さらに2つのショーへの出演が決まっている。ひとつはダカール市内で開催されるダカールの若手クリエイターやブランドが集うファッションイベント「ダック・ワークショップ」。もうひとつは隣国ガンビアで11月に開かれるファッションショーだ。初めての海外の仕事についてバシルさんは「ワクワクしてる。しっかり印象を残したい」と胸を膨らます。

身長188センチメートル、体重64キログラムのバシルさん。シンプルな装いでもモデルらしいスタイルの良さが際立つ













