「ティグライ紛争はアビィ首相の圧政から始まった」 ティグライ人の米大学教授がエチオピア政権を批判

米国サウスカロライナ医科大学のムルゲタ・ガブラエグゼビア教授。エチオピア北部のティグライ州の出身だ(写真:本人提供)米国サウスカロライナ医科大学のムルゲタ・ガブラエグゼビア教授。エチオピア北部のティグライ州の出身だ(写真:本人提供)

ティグライ紛争は計画されたもの

――紛争のもう一つの原因は何か。

「エリトリアのイサイアス(アフェウェルキ)大統領だ。イサイアス大統領はエチオピア・エリトリア国境紛争(1998~2000年)に負けて以来、TPLFを憎んでいる」

――エチオピア・エリトリア国境紛争はエチオピア政府とエリトリア政府の争い。イサイアス大統領はなぜTPLFを目の敵にするのか。

「エチオピアの当時の首相、メレス・ゼナウィ氏はTPLF出身。エチオピア・エリトリア国境紛争と呼ばれるが、実際はティグライとエリトリアの戦いだった。だからイサイアス大統領はエチオピア以上にティグライを恨んでいる」

――アビィ首相は2018年、イサイアス大統領と共に、エチオピア・エリトリア間の「平和及び友好関係に関する共同宣言」に署名した。これが評価され、後にノーベル平和賞を受賞している。この和平合意は何を意味するものだったのか。

「私が思うにあれは和平合意ではなく、ティグライを攻撃するための軍事合意だ。イサイアス大統領はアビィ首相に対し、『我々が協力すれば権力の座に長く居すわれる』と説得したのだろう。その時から2人は共通の敵であるティグライへの攻撃を計画していたと考えられる」

――ティグライ紛争はTPLFが北部の政府軍の施設を攻撃したことで始まった、とエチオピア政府は発表しているが。

「それは正しくない。この紛争は計画されたものだ。その証拠にティグライ紛争が勃発して数時間後にエリトリア軍が参戦した。

アビィ首相とイサイアス大統領の2人は2018年の“和平合意”以降、ティグライを攻撃する準備を進めていた。アビィ首相は2020年7月にエリトリアのサワ軍事訓練所を訪れ、またイサイアス大統領はティグラ紛争開戦直前の2020年10月にエチオピアの空軍基地を視察している」

空爆で破壊された家。家財が散乱する。場所はティグライ州メケレ(写真提供:ガブラエグゼビア教授)

空爆で破壊された家。家財が散乱する。場所はティグライ州メケレ(写真提供:ガブラエグゼビア教授)

1 2 3 4