「ティグライ紛争はアビィ首相の圧政から始まった」 ティグライ人の米大学教授がエチオピア政権を批判

米国サウスカロライナ医科大学のムルゲタ・ガブラエグゼビア教授。エチオピア北部のティグライ州の出身だ(写真:本人提供)米国サウスカロライナ医科大学のムルゲタ・ガブラエグゼビア教授。エチオピア北部のティグライ州の出身だ(写真:本人提供)

政府軍は妻や娘をレイプしにくる

――アビィ首相は何を求めているのか。

「アビィ首相の野望はエチオピアの王になることだ。首相は2018年の議会の最初の演説で、7歳の時に母から将来エチオピアの王になると言われたとのエピソードを紹介した。その後、『(首相に就任して)私はエチオピアの王となった。母の夢がかなった』とも発言した。アビィ首相は、エチオピアで導入されている民族連邦制を廃止して、中央集権の国家を作ることを目指している」

――TPLFは何を求めているのか。

「TPLFは対照的に民族連邦制を続けたいと考えている。選挙で掲げたマニフェストにもそう書いていた。TPLFはティグライ州の政党の中で最も左の政党で、あくまでティグライ人の自治を目指しているだけだ。独立や紛争を求めているわけではない。しかし今、政府軍は自分の妻や娘たちをレイプしに来るのだ。武器を持って戦う以外の選択肢はない。私もティグライにいたら戦っていただろう」

――アビィ首相とTPLFのゴールの違いが、紛争の原因なのか。

「そうだ。アビィ首相は中央集権体制を求め、TPLFは連邦制の維持を求める。中央集権vs連邦制というイデオロギーの対立が紛争の根本にある」

アビィはすでに負けている

――ティグライは今どのような状況か。

「電気や電話が止められ、家族と連絡が取れない状態が続いている。病院などティグライの医療施設の80%以上は破壊された。アディグラット大学など教育機関もだ。

教師や医師、看護師などは仕事を奪われ、みんな兵士になったと聞く。兵士は以前2万人ほどだったが、今では10万人ほどではないか」

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