クルドの家庭料理も食べられる「ともくらフェス」が11月23日に埼玉・川口で開催、難民を知るきっかけに

クルド風ピザの「ラフマジュン」。薄めの生地にひき肉やトマトを混ぜた具を乗せて焼き上げる。クルド人の大半が暮らす中東では定番の料理。フェスの当日は、在日クルド人が手作りしたラフマジュンなどの家庭料理が食べられる

できることは少ない?

温井さんは、川口市の隣の蕨市を拠点に在日クルド人を支援する団体「在日クルド人とともに」の代表も務める。この団体は毎週日曜日に、クルド人を対象に日本語教室を無償で開く。日本語を教えるのは近隣の住民や県内・都内の学生などのボランティアだ。

「在日クルド人とともに」を温井さんが設立したのは2016年。きっかけは、妻・まどかさんが昼の公園で学校に通えないクルドの少女と出会ったことだ。

「その少女とかかわるうちに仮放免の問題を知った」と温井さん。以来、在日クルド人が学校に通ったり、医療を受けたりするための勉強会や相談会を開くようになった。

仮放免とは、在留資格がなく出入国在留管理庁(入管)の施設に収容されている外国人を請求または職権により一定の条件付きで、一時的に釈放する制度のことだ。難民審査が長期化している人や子どもの場合に適用されることが多い。

仮放免になった外国人は、施設外での生活が認められるが、就労は禁止される。また、健康保険に入れない。このため金銭的理由で学校に通えず、医療も受けられない仮放免者が多い。

仮放免者の数は増加傾向にあり、2019年6月の2303人から2021年末には4174人になった。

細々と活動を続けてきた「在日クルド人とともに」だったが、「できることは少ない」と限界も感じつつあった。そこで、2023年10月にクルド人をテーマにした写真展を開催したり、今回のフェスを企画したりするなど活動の幅を広げている。「制度を変えるのは難しい。だからこそ、この問題をより多くの人に知ってもらいたい」と目的を語る。

「写真展に来た人が日本語のボランティアに参加してくれるなど、活動の成果を実感している」と温井さん。「今後もそのような人を増やしていければ」と未来を見据える。

クルドの家庭料理も食べられる「移住者(移民・難民)と共にーともくらフェス」のポスター。11月23日午前11時~午後3時に埼玉県川口市の並木元町公園で開かれる

クルドの家庭料理も食べられる「移住者(移民・難民)と共にーともくらフェス」のポスター。11月23日午前11時~午後3時に埼玉県川口市の並木元町公園で開かれる

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