ベネズエラで続く反米独裁政権、支持率2割以下、2024年後半の大統領選でどうなる?

マリア・コリーナ・マチャド氏マリア・コリーナ・マチャド氏(2023年10月25日の記者会見)。マチャド氏のインスタグラムから引用

「年金・配給を止めるぞ」

2023年10月22日に実施された野党(反政府派)の統一候補を決める予備選で、マチャド氏は得票率92%超で圧勝した。この予備選はベネズエラ全土で盛り上がり、投票用紙が足りなくなるところもあったという。

家族と一緒に投票に行った30代のベネズエラ人女性エレナさん(仮名)は「マチャド氏の言うことは、マドゥロ氏より筋が通っている。それに、マドゥロ政権に迎合する反政府派の政治家もいるなかで、彼女は初めからずっと政府に反対の姿勢を貫いてきた」とマチャド氏を評価する。

予備選で投票したことで、政府から脅迫を受けた人もいる。エレナさんの姪のワッツアップ(LINEのようなアプリ)のアカウントには、役人から「どうして投票に行ったんだ? CLAP(食料配給制度)の食材をもう渡さないぞ」とのメッセージが送られてきた。「年金を止めるぞ」と役人から言われた高齢者もいる。

「CLAPも年金も、それがなければ生きていけない人がたくさんいる。だからこうした脅しは効果がある。政府のせいで貧しい暮らしを強いられているのに、その政府に食べ物で操られるなんて悲しい」。エレナさんはこう憤る。

ただ注目は、マチャド氏が大統領選に立候補することをマドゥロ氏が認めるかどうかだ。マチャド氏は、他の多くの反政府派の政治家と同様、公職からの追放処分を受けている。立候補そのもの、または仮に選挙で勝っても大統領に就任できないという処分だ。

坂口さんは「(マドゥロ政権が)立候補を認めるとは考えにくい。たとえいったん認めたとしても、最後の最後に撤回するのではないか」と見る。

ベネズエラ東部の街シウダーボリーバルのスーパーの棚に並ぶパン。すさまじいインフレがおよそ10年にわたって続いていることから、1つ4.37ドル(約640円)、3.2ドル(約470円)と日本より高い

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