ブラジル・サンパウロ市郊外のレジストロで暮らす日系2世の清水ルーベンス武さん(83)。「紅茶の都」とかつて呼ばれたレジストロを再び釜煎り茶と文化遺産で再生させようと奮闘する農業一筋、JICA事業にも
お茶の仕事を手伝いながら中学校を卒業した武さんは親元を離れて、サンパウロ州の北に位置するミナスジェライス州の農業専門学校に進学。さらに同州のビソーザ連邦大学(UFV)農学部で学んだ。
父から「外に出て修行してきなさい」と言われた武さんは卒業後、公務員として農業学校で教えたり農家に向けて技術指導したりした。
1975年、32歳になった武さんは、日本の国際協力機構(JICA)とサンパウロ州政府との共同プロジェクト「リベイラ川流域農業開発計画」(セダバール)に参加。4年間従事した。
セダバールとは、レジストロを流れるリベイラ川の治水と川沿いにある4万5000ヘクタールの低湿地を農業地帯に変えるための、インフラ整備と技術移転プロジェクトだ。
しかしセダバールは日本への申請手続などが上手くいかず頓挫した。ただ計画がなくなったいまも、サンパウロ州の農業研究機関として使われている。
森林農法で付加価値を
37歳になった武さんは家業に戻った。80年代はレジストロの紅茶生産の最盛期を迎えていた。武さんは、コチア産業組合の工場で「お茶生産グループ」に加わった。
「当時は、茶の新芽を生産して工場に送れば、お金になり、生活に必要な費用をすべて払っても、まだ余るくらいでした」
レアル高による輸出不振のあおりで紅茶生産が衰退してから、武さんは観葉植物の生産へと転換し乗り越えた。
武さんは6年前から、生産者仲間などと協力して「農業コミュニティを観光によって再生する」プロジェクトを始めた。30年放置され、森に覆われたお茶畑を逆手に取って、森を切らずに作物を栽培するアグロフォレストリー(森林農法)のお茶に挑戦する。
現在、武さんの畑では、ジュサラヤシとお茶の木を混植する「お茶とジュサラヤシ(ヤシの新芽パルミートがとれる)アグロフォレストリーシステム」のモデル農園を試験中だ。
目指すは、アグロフォレストリーを打ち出し、ブラジル北部のパラー州トメアスで成功した、アサイー栽培だ。トメアスではアサイーをメインにカカオ、黒コショウ、クプアスなども混ぜて植える。
モデル農園で武さんが描くラインアップは、お茶を核に、ジュサラヤシ、コーヒー、バナナ、観葉植物だ。

「お茶とジュサラヤシ・アグロフォレストリー・システム」のモデル農園の看板(清水ルーベンス武さん撮影)

お茶生産が衰退したときに武さんは観葉植物に転換して難を乗り越えた。写真は熱帯性の観賞植物コルディリネ(清水ルーベンス武さん撮影)














