フリーランスのメイクアップアーティストのハディジャ・ンディアイさん(27歳) 。 セネガル・ダカールの自宅で(筆者撮影)自前のスタジオ開設へ
メイクアップアーティストとして順風満帆なキャリアは歩む彼女だが、以前は法律事務所で弁護士のアシスタントをしていた。地元ダカールの私立大学アフィ・リュニヴェルシテ・ドゥ・ラントルプリーズ(AFI – L’Université de l’Entreprise)の修士課程に在籍していたころから法律事務所でインターンを始めた。セネガルの法律は、3カ月以上働くインターン生には給料を払うことを義務付けている。高卒資格に相当するバカロレア取得者は月5万cfaフラン(約1万3700円)から7万5000cfaフラン(約2万700円を)、修士号の取得者はそれ以上を受け取れる。
ハディジャさんは数年働いていたにもかかわらず、「1カ月に10万cfaフラン(約7500円)しかもらえなかった」と不満を募らせる。また事務所には男性しかおらず、そこでひたすらオフィスワークをする日々に彼女は疑問を持った。
そんなとき、メイクアップアーティストとしてすでに活動していた近所の友人に声をかけられ、出会ったのが現在の職業だ。女性社会で型に囚われない職場環境はまさに彼女が求めていたもの。ハディジャさんは「人生の節目の日を演出するメイクを担当する仕事は今でも緊張するけど、多くの人と話ができるから楽しい」と笑顔で語る。
弁護士のアシスタントを辞め、2024年からはメイクアップアーティスト一本に絞ったハディジャさん。だが当初は家族から反対を受けたという。アシスタントから弁護士になれば高収入が期待されるからだ。
セネガルではオフィスワークこそ“立派な仕事”とみなされる風潮がある。メイクアップアーティストは職業として軽視されているのが現状だ。「顔を塗るだけなのに料金が高すぎる」と、ハディジャさんは顧客から文句を言われたことも。「メイクアップアーティストの仕事で最も辛いのは見下されること」と悩みを吐露する。
だが仕事を通した素敵な出会いもたくさんあった、とハディジャさん。2025年の12月にダカールでメイクをした米国人の女性とは、彼女が帰国した後も定期的に電話しあう仲になった。この女性の息子2人が数カ月前にダカールを訪問した際、ハディジャさんの家に遊びに来た。
売り上げがずっと右肩上がりであることから、ハディジャさんはこの11月に、自分のメイクアップスタジオをダカール市内に開設する予定。彼女の夢はセネガルを代表するファッションデザイナー、コレ・アルド氏のファションショーにメイクアップアーティストとして呼ばれることだ。













