ミツバチの巣箱をバリアにゾウから畑を守る! 日本のZ世代がケニアで挑戦へ

オロイスクット自然保護区内の住宅地に侵入した野生のゾウ住宅地に侵入した野生のゾウ(タンザニアで撮影)

8人の子どもが孤児に

巣箱を畑の周りに並べる理由は、ゾウが畑を踏み荒らしたり、作物を食べたりするのを防ぐことだ。ゾウは10~20頭の群れを作り、食べ物を求めて長距離を移動する。その動線に畑があると作物を食べてしまう。赤石さんは「1度に食べる量が多いので、他の野生動物より被害が大きい。ゾウが荒らした畑を見たが、すべてなぎ倒され、台風が通りすぎた後のようだった」と話す。

ゾウの鼻や耳の中の皮膚は薄く、ミツバチに刺されると激痛が走る。そのためミツバチの羽音を聞くとそれ以上近寄らないという。

「実際はミツバチは獰猛な性格ではないし、他の生き物を刺すと自分が死ぬ。だからゾウを刺すことはめったいにない。ただ羽音を聞くだけでゾウは不快になるようだ」(赤石さん)

集落の人たちがゾウを追い払うこれまでの方法は、夜中に当番性で見回りをすること。ゾウを見つけると、バイクのエンジンをふかしたり爆竹を鳴らしたりする。「最悪の場合は射殺する。ゾウを殺すことは禁止されているが、自衛のためにやってしまうようだ。いくらなんでもこれでは負担が大きすぎる」(赤石さん)。

しかもこのやり方は、ゾウと人間の対立を悪化させかねない。「人間は怖いものだ」とゾウが認識するからだ。その結果、人間と鉢合わせたゾウがパニックになって暴れ、人間を殺してしまうケースが後を絶たない。集落でも、川に水くみに行った女性がゾウに殺され、8人の子どもが孤児になったという。

 

ゾウが破壊した柵と畑(オロイスクット自然保護区)

ゾウが破壊した柵と畑(オロイスクット自然保護区)

ゾウに荒らされたトウモロコシ畑(オロイスクット自然保護区)

ゾウに荒らされたトウモロコシ畑(オロイスクット自然保護区)

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