ミツバチの巣箱をバリアにゾウから畑を守る! 日本のZ世代がケニアで挑戦へ

オロイスクット自然保護区内の住宅地に侵入した野生のゾウ住宅地に侵入した野生のゾウ(タンザニアで撮影)

ミツバチの毒も商品化したい

このプロジェクトを動かすのは赤石さんと、ボーダレス・ジャパン(本社:東京・新宿)の社員である米田耕太郎さん(26)の2人だ。米田さんは、同社が運営するクラウドファンディングサービス「For Good」のキュレーターを務める。

それぞれ別の大学で、野生生物の保護について学んでいた赤石さんと米田さん。学外のイベントで出会い、意気投合した。赤石さんは「2人とも、人間の活動を悪とする従来の野生動物保護の仕組みにモヤモヤを抱えていた。人間の暮らしにも利がある仕組みが必要ではないか、と。自分と同じことを考えている人に出会って、とても嬉しかった」と振り返る。

プロジェクトが始動するのは9月。まずは2カ月ほど2人でケニアに滞在する。米田さんはその後も現地に残る。赤石さんは日本にいったん戻り、来年3月に大学院を卒業。4月には米田さんと同じボーダレス・ジャパンに入社する予定だ。

ボーダレス・ジャパンは、社会課題を解決するビジネスを社員自ら立ち上げるよう促す会社。2人は来年夏ごろに、ケニアで起業する計画だ。赤石さんは「このプロジェクトを長期的に続けていくためには、寄付に頼るのではなくビジネスにするのがいいのではないかと思う」と話す。

起業した後に2人が見据えるのは、巣箱から採るはちみつを売ることだ。まずはナイロビで富裕層や観光客向けに売ったり、レストランに卸したりする。収量が安定したら、日本でも売りたい考え。赤石さんは「はちみつで得た収益で、また別の場所に巣箱を置きたい。将来的には巣箱の管理を集落の人たちに任せて、自分たちはお金を調達してくるのがいいのかなと思っている」と青写真を描く。

はちみつの販売が軌道に乗った暁には、ミツバチの毒を商品化することも視野に入れる。「ミツバチの毒が新薬の開発に使われていると聞いた。アフリカやヨーロッパの製薬会社に売れたらおもしろい」と夢を膨らませる。

CFで250万円めざす

このプロジェクトを実現するため赤石さんたちは7月31日まで、クラウドファンディング(CF)を実施中だ。主な使い道はミツバチの巣箱100個分の導入費用。当初の目標額だった100万円はすでに突破し、250万円のネクストゴールを掲げる。

「これはぼくたちの壮大な計画の第1歩。待ってろケニア」(赤石さん)。2人の挑戦がここから始まる。

オロイスクット自然保護区で、ゾウの被害についてマサイ族にヒアリングをする赤石さん

オロイスクット自然保護区で、ゾウの被害についてマサイ族にヒアリングをする赤石さん(中央)

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