巨大ダイヤを捨ててしまったリベリアの採掘者たち、理由は数々の「迷信」

リベリア西部のウィズア村で採掘した砂利を、採掘者がジグ(ざるのような器具)を使い洗っているところ(2018年7月、ダイヤモンド・フォー・ピース撮影)リベリア西部のウィズア村で採掘した砂利を、採掘者がジグ(ざるのような器具)を使い洗っているところ(2018年7月、ダイヤモンド・フォー・ピース撮影)

ダイヤは悪魔が生み出したもの?

採掘者の思い込みはほかにもある。ダイヤがどこに埋まっているかは予測できない、というものだ。見つけるには手当たり次第に掘り返すしかないとされる。

「採掘で使うのも、シャベルやふるいといった原始的な道具だけ。『一生懸命掘ったわりには少ししか見つからない』とみんな口をそろえて言う」と、村上さんは効率の悪さを指摘する。

この思い込みの原因のひとつが、「ジーナという女の悪魔がダイヤを生み出し、地中に埋めている」という迷信。ダイヤのありかはジーナのみぞ知る、というわけだ。

ダイヤをたくさん掘り当てるためには、ジーナに捧げものをしなければならないとされる。採掘者の男性は「ジーナにニワトリを捧げるので、自分で食べる分がない。ジーナに捧げものをする必要は本当にあるのか」と講師に尋ねたという。

ダイヤを見つける手がかりはある

この思い込みを正すためDFPは、ダイヤを見つける手がかりを村人に伝える。たとえば昔流れていた川の跡。ウィズア村で見つかるダイヤは、川を流れてきて堆積したものだ。また、マンバ・ロックと呼ばれる角が取れた大きな水晶は、ダイヤと一緒に堆積することが多い。良い目印だ。

過去にダイヤが見つかった場所や重要な地形・地質を、マップに起こす方法も伝える。村上さんは「100%見つかるとは言えないが、手あたり次第よりはずっと良い」。

「採掘者は識字率が低いので、私たちが伝えたことをどこまで記憶して使っていけるかは未知数。でもみんな、自分たちの技術を向上させることに関心がある。ウィズア村でモデルを作って、リベリア全土や他の国にも広めていきたい」。村上さんはこう意気込む。

ダイヤモンド・フォー・ピースがウィズア村で開いた採掘ワークショップで、選鉱に用いる機材の使い方のデモンストレーションを実施しているところ。ダイヤが水をはじく性質を利用して、一度洗った砂利を、油脂ペーストを塗った波型のスロープに流し、ダイヤのみが油脂ペーストにくっつくことで効率的にダイヤを回収できるかどうかを確認している(2023年5月、ダイヤモンド・フォー・ピース撮影)

ダイヤモンド・フォー・ピースがウィズア村で開いた採掘ワークショップで、選鉱に用いる機材の使い方のデモンストレーションを実施しているところ。ダイヤが水をはじく性質を利用して、一度洗った砂利を、油脂ペーストを塗った波型のスロープに流し、ダイヤのみが油脂ペーストにくっつくことで効率的にダイヤを回収できるかどうかを確認している(2023年5月、ダイヤモンド・フォー・ピース撮影)

ウィズア村でのワークショップで、同じくらいの大きさのダイヤと石の重さが同じかどうかを参加者が量って確認しているところ(2023年5月、ダイヤモンド・フォー・ピース撮影)

ウィズア村でのワークショップで、同じくらいの大きさのダイヤと石の重さが同じかどうかを参加者が量って確認しているところ(2023年5月、ダイヤモンド・フォー・ピース撮影)

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