サンパウロ市内の大学に通う日系3世の川村ルアナ明日香さん(23歳)。休日は日系社会のボランティア活動に参加する埼玉生まれなのに佐賀県人会
転機になったのは大学進学だった。
サンパウロ市内のブラジル連合首都大学に通うため、親元を離れて寮で暮らし始めた。だが寂しさや孤独とは違った何かが足りないと感じる日々に悩まされていたという。
そんなとき、寮の先輩の日系人から「佐賀県人会の集まりに来ないか」と誘われた。川村さんが暮らす寮は佐賀県人会の建物の中にあったため、県人会の集まりが時折開かれていた。参加してみると、新たな感覚があった。
「日本人って空気を読むでしょ。でも日系人に会ったときは安心できたというか。日本人でもブラジル人でもない『日系人の私』はここにいていいんだと思えた」
川村さんは言う。「県人会のおじいちゃん、おばあちゃんのために何かしてあげることが嬉しい。私の祖父母は亡くなったけれど、彼らを本当の家族のように思っている」
佐賀県人会の活動として、川村さんは友だちと一緒に「ペラペラ会」を立ち上げた。参加者は日本語で、特定のテーマに沿って話し合ったり、クイズやゲームをしたりする。
ユニークなのは、埼玉県生まれの川村さんが佐賀県人会に所属していること。県人会は、もともとは同じ県から移住した人たちが助け合うためにつくられた組織だ。だが1世が減り、会員の高齢化や後継者不足が進むなか、現在は出身県や血縁に関係なく参加する人も増えている。非日系人さえいる。
ブラジルの県人会はいまや、「同郷の人が集まる場所」から、だれでも参加できる「日本文化を使った交流の場」へと変わりつつある。
夢は両国をつなぐ通訳・翻訳
川村さんは実は2026年8月に日本から帰国したばかり。東京外国語大学に1年留学し、日本文化を学んだ。
「日本人の友だちもできた。だけど話すときはやっぱり自分の日本語が気になって。結局、ほかの国からの留学生と一番仲良くなった」
川村さんは将来、日本語、ポルトガル語、英語を生かし、通訳・翻訳の仕事に就きたいと考えている。ブラジルで暮らしながら日本と行き来し、2つの国をつなぐ仕事がしたいと夢を膨らます。














