ミャンマーの民主化を求めるCDM、ヤンゴン出身の元大学生「参加しない人も今なら受け入れられる」

CDMに参加し、現在はタイ・チェンマイで暮らすルミさん(仮名)。ミャンマーのヤンゴン出身で、ヤンゴンウエスト大学で法律を学んだ。軍事クーデターが起きた後、軍政下で教育を受けることを拒み、大学を中退。2022年にミャンマーからタイへ移った。現在はチェンマイのカフェで働く(チェンマイで撮影)

参加しないのも「個人の選択」

自分の思い描いていた将来につながる大学での学びを捨ててまでCDMを選んだルミさん。CDMに参加しない学生もいた。以前なら、彼らのそんな選択に疑問を抱いていたという。「(民主化を本当に求めるのであれば)ミャンマー人は何らかのアクションをとるべきだ、という強い思いが私にはあった」

だが今は違う。

ルミさんは取材中に「CDMへの参加やCDM参加者への金銭的支援をするかどうか、は彼らの選択だ」と何度も繰り返した。この言葉には、CDMへの参加を周囲にも求めていた数年前から現在までのルミさんの心境の変化が表れている。

「自分は大学を離れることで軍政に抵抗する道を選んだ。対照的に大学に残ることを選んだ人には、学問やキャリアを続ける道があった。だからといってその人を憎んだり、責めたりする理由にはならない」(ルミさん)

ルミさんによれば、軍事クーデターから5年半経ったいま、ミャンマー人のCDMに対する考え方は一様ではなくなったという。軍事クーデターが起きた直後は、CDMを軍政に抵抗する重要な手段だと考え、多くの犠牲を払って参加した人が大半だった。いまもその重要性のうえに参加する人、参加者を支援する人はいる。

一方で、「経済的な負担、家族への責任、日々の生活の困難から活動を続けることが難しくなった人もいるのが実情。CDMはもはや効果的ではないと思わざるを得ない人もいる」とルミさんは現実を見据える。

だからこそルミさんは、CDMへの参加やCDM参加者への金銭的支援をしているかどうかだけで民主化に対する思いの軽重を判断することはできないと考えるようになった。

「我が子にはCDMをしてほしくない」

ルミさんは言う。

「私自身はCDMに参加して良かったし、誇りには思う。だけど自分に子どもができたら、自分と同じ選択をしてほしいとは思わない。なぜなら人生の選択肢がすごく狭まってしまうから」

ミャンマー人にとって民主化を果たしたいとの思いは共通だ。だがルミさんは最後にこう付け加えた。

「自分が正しいと思うことと、同じ選択を他人にも求めることは別問題だ。CDMというひとつの手段を強要できない。軍政が続く5年半で私の考えは変わらざるを得なかった」

1 2