貯金してコンバインを共同購入、農協がミャンマーで農民支援

0927岡本さん、P1030655エイ・エイ・ニェンさん

一般財団法人アジア農業協同組合振興機関(IDACA)は2015年2月から、ミャンマーで、農民を組織化して農機の共同購入・共同利用を促すプロジェクトを進めている。日本外務省の政府開発援助(ODA)である日本NGO連携無償資金協力を活用したもの。期間は1年。予算総額は約5000万円。このプロジェクトのプログラムマネージャーであるエイ・エイ・ニェンさんに話を聞いた。

――このプロジェクトの目的を教えてください。

「大きく2つの目的があります。ひとつは、コメの生産性を向上させること。もうひとつは、貯金をしてコンバイン(イネを収穫するための農業機械)を購入することです」

――プロジェクトの運営における考え方を教えてください。

「二宮金次郎の教えを重視しています。節約や協力などの考え方はこのプロジェクトに大変重要です。彼の教えはテキスト(ミャンマー語)にして配布しています。実際に神奈川県小田原市にある二宮金次郎博物館へも足を運びました。日本ではすべての小学校に彼の銅像があるのですね」

――成果は出ているのでしょうか。

「見えてきています。実証サイトでは、イネの生育が良好であることが確認できます。これは、いままでは肥料を無計画に散布していたものを、日本から学んだ方法を用いて計画的に散布する方法に改めました。この手法を100%採用した区画でのイネの生育が最も良いです。

また、コンバインを購入するための貯金(目標は3000万チャット=約300万円)も順調に貯まってきています。実際に農民を日本へ派遣して学習してもらった成果がでてきているといえます」

――いままでに発生した問題と解決策について教えてください。

「2つの問題が発生しました。ひとつは農民同士が集って話しあう機会がなかったことです。話しあいの場をつくるために、農家へ個別訪問して調整することで、定期的な会議の場をつくるようにしました。

もうひとつは、収入が不安定な農家に対して、月に貯金をいくらお願いするかが決まらなかったことです。何回も粘り強く会議を重ねて、持続可能な1人当たり1カ月5000チャット(約500円)の預金をすることで合意できました」

――最後に意気込みをお聞かせください。

「私は、20年は農業灌漑省の職員として、9年は国際機関や国際NGOのプロジェクトマネージャーとして働いてきました。国際協力機構(JICA)と仕事をした経験もあります。いまの仕事は、時には週6日、1日13時間のハードワークとなりますが、ミャンマーの農業の明るい未来に向けて、とても充実しています」