世界の現実を知らなくていいのか、Days Japanの名古屋写真展に900人が来場

0723瀬川さん、DSC_3942Days Japan名古屋サポーターズクラブの半田博子さん

Days Japan名古屋サポーターズクラブは7月12~15日、Days Japanフォトジャーナリズム写真展in名古屋「地球の上に生きる」を名古屋国際センターで開催した。同誌の「国際フォトジャーナリズム大賞」を受賞した写真およそ85点が展示された。老若男女およそ920人が来場した。

スーダンの内戦から南スーダンとの国境へ逃れるため数週間歩き続け、くたびれた靴。自由のため命がけで戦うシリア人兵士。難民キャンプで亡くなった子をただじっと見つめる母親――。展示された写真はどれも生々しい。残虐なショットを前に、涙ぐむ来場者もいた。

名古屋サポーターズクラブの半田博子さんが一番印象に残ったと語る写真が、Days大賞2位の「紛争と干ばつ 飢えるニジェール」(5ページの写真)。マリ北部の内戦から家畜を連れて逃れてきた難民の幼い少女が懸命にヤギの乳を絞っている1枚だ。

「ペットボトルのキャップのような小さな容器に、乳を受けている少女の瞳。ほんの少ししか絞れない。過酷な状況の中で命をつなごうとする少女の瞳に、『生きる』という意志を私は感じた」(半田さん)

マリ北部では、中央政府に不満をもち、独立を目指す遊牧民トゥアレグの武装蜂起、イスラム原理主義勢力の占領、事態の悪化を懸念して介入したフランス軍などが入り乱れ、政情不安はいまも続く。だが日本のメディアは継続的に取り上げない。

半田さんは「ここに展示された写真はすべて見たいものではないかもしれない。だがこれが世界の現実。もっと悲惨な現実に直面している人も世界には多くいる」と話す。

写真展では来場者を対象にアンケートをとった。そこには「今までこんな世界があることを知らなかった」「国際協力についてもっと考えてみたい」といった声がたくさん寄せられたという。

自分で何かしたい人は何をすべきか。半田さんは「身近でできることから始めたらいい」とアドバイスする。国際協力NGOのスタッフになって、途上国援助に直接かかわらなくても、写真を見て感じたことを周りに話してもいいし、フェアトレード商品を率先して買ってもいい。NGOや、スポンサーをもたないDays Japanに寄付するという方法もある。

「愛情の反対は、憎悪ではなく無関心。無関心こそが人を殺すのです」。これはマザー・テレサの言葉だ。半田さんは「日本にいても、悲惨な世界の現状に無関心であってはいけないし、現実を知らなくてはいけない」と力を込める。

名古屋サポーターズクラブは10年前、Days Japanの広河隆一編集長の講演会に参加した学生らが中心となって発足した。写真展は毎年開催され、今年が9回目。(瀬川義人)