世界から子ども兵がなくならない理由 1億挺のカラシニコフ銃「AK-47」

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世界中の紛争でもっとも使われている自動小銃は、旧ソ連が開発した「AK-47」(1947年カラシニコフ自動小銃)だ。低価格で壊れにくく、高い殺傷能力を持つAK-47が、世界の「子ども兵士」をなくす取組に大きな影を落としている。

AK-47は全長約90センチ。ジャングルや市街地での取り回しが非常にいいとされる。7.62ミリの大口径の弾丸を使用し、600メートルほどの射程距離を持つ。最新型の高性能な自動小銃とも遜色はない。

構造はシンプルで、分解しても部品点数はわずか8個。銃を扱ったことがなくても、AK-47なら短時間の訓練で簡単に扱うことができる。そのうえ、乱暴な扱いをしたり、整備を怠ったりしてもまず故障しない。生産に高い工業技術を必要とせず、2000年代に入るまで、旧東側諸国を中心に20ヶ国以上で約7000万挺から1億挺が製造された。

AK-47が世界中に流通した理由は、その圧倒的な価格の低さにある。例えば、ソマリアのモガディシオではインド製コピーAK-47が1挺140ドル、ウガンダとスーダンの国境地帯では86ドルで取引されている。日本の自衛隊の89式小銃の価格が1挺あたり28万円であるのに比べると、驚くほど安い。

この安価で殺傷能力の高いAK-47が、世界中の子ども兵士によって使われている。子ども兵士は、武装勢力に拉致されるなどして恐怖で支配され、従順になる。AK-47のような小型兵器を使うことで、立派な戦力となる。

防衛研究所によれば、アフリカでもっとも子ども兵が多いスーダンでは、政府軍・反政府軍合わせて10万人もの子どもが戦闘に参加している。スーダン陸軍が正式に採用する小銃は数種類あるが、主にAK-47の中国版コピーで、ライセンス生産も行われている「56式自動歩槍」が使われている。

AK-47のように、途上国の軍隊や武装組織にとって「安価」で「使い勝手の良い」小型兵器の流通を規制し、使用を取り締まることが、子ども兵士をなくすために必要であることは、国際社会ではこれまであまり語られてこなかった。

軍縮に関する国際条約では、2013年になりようやく「武器貿易条約」が制定され、小型兵器と弾薬の取引が制限された。しかし、この条約は、政府間の小型兵器の取引は禁止しておらず、紛争当事国でも武器の取引が合法的に可能なことから、小型兵器の蔓延を食い止める抜本的な解決策にはなっていない。小型兵器の使用を制限する条約は、2014年現在、存在していない。

国際社会の小型兵器に対する関心の薄さも、AK-47をはじめとする小型兵器が氾濫する一因であり、世界中でそれを使う子ども兵士がなくならない理由のひとつだろう。国際社会は、小型兵器の使用制限を含めたより厳格なルール作りと、闇取引を含めた武器取引を監視することが求められる。(酒匂本慈)